すきやばし次郎旬を握る - 読書

すきやばし次郎旬を握る

 19,2016 13:07
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・魚を釣る

・魚を食べる



それぞれの行為はなんの変哲もないありふれたものですが・・・


・釣った魚を調理して食べる


この組み合わせになると途端に「敷居」というか「ハードル」というか「難易度」が高くなるのが現実。

自分の体感的憶測によるると、この「釣った魚を調理して食べる」事に関しては釣り人も例外的な存在ではなく・・・・


・釣るけど釣った魚を食べるとは限らず、魚を食べるけどそれを自分で作れるとは限らない。


こういう不思議な構造があるんですね。


「これは自分が認識する食べ物であるか否か」という感じで食物に対して主観的なフィルター掛けをしてしまう”先入観”であったり(保守的な味覚の持ち主にありがちなことですね)・・・

「自分は調理できないから、料理として完成された姿になるまでは食べ物として認識できない」的な、料理は自分の仕事ではないからという理由・・・”マイルール”による判断基準だったりします。


この本はプロもプロ、超一流のプロ・・・簡単に言えばミシュラン三つ星獲得の寿司職人の仕事が詳しく紹介されています。


書かれていることを一般人が真似できるかどうか、参考になるかどうかは別の話として、そこには「どうやったらもっと魚が美味くなるか」という探求を貫こうとする職人魂があって、技術の云々よりこの姿勢こそ釣るけど釣った魚を食べるとは限らず、魚を食べるけどそれを自分で作れるとは限らない人に読んでもらいたいです。



ちなみに、描かれているすきやばし次郎さんはドキュメンタリー映画化もされています。



外国人監督の作ですが、変な「西洋からみた日本のオリエンタル感」が存在せず、ちょうどこの本『すきやばし次郎旬を握る』を映画化したらこういう感じになるんだろうなという内容です。

フル動画をみたことがありますが、面白かったですよ!


本の内容は春夏秋冬それぞれの季節の握りの話に、豊富な写真が添えられて進行します。


そこでよく掘り下げられる話がコハダとシンコ


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江戸前寿司の代表格ですよね。

驚くことに、すきやばし次郎では年中コハダとシンコを出すことが可能だとか。

それはどういうことかというと、たとえば9月にちょうどいいサイズになるコハダは○○産、そこが終われば次は△△産のサイズがちょうどよくなって・・・

という感じで、季節によって仕入れ産地を変えているようです。

もちろん、ちょうどいいサイズの産地に変えればいいだけの話ではなく、ちょうどいいサイズの「美味いコハダ」の産地は何処かということを知らねばなりません。

コハダにしたって何にしたってネタに関しては一事が万事、こんな次第です(笑)



あ、九州産のネタはかなり多いですよ!


あ、福岡産のネタもありますが、意外なものです。


(詳しくは本書でどうぞ)



もちろん、江戸前寿司なのでメインのネタは東京湾産、また、近場の三浦半島~房総の海の幸も多いのですが、2011年以前に出版された本なのでいまそのあたりのデリケートな物がどうなっているかは定かではありません・・・・

スズキとフッコは、福島の沖のものが臭みがないということで珍重していたようですが、これは確実にアウトになったでしょう・・・



ところで江戸前寿司の華といえば・・・やはり、マグロ。


クロマグロに関してはめっちゃ詳しく書かれていますが、残念ながら大多数の釣り人には「近海クロマグロをどうやって寝かせて美味い部位を取るか」なんて話は無縁でしょう(苦笑)


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自分が一番目からウロコだった話は、イカの話。


すきやばし次郎ではアオリイカとスミイカ・・・つまり甲イカ(モンゴウイカ)をネタとして出すみたいです。


驚いたことにモンゴウイカこそが最高のイカだとしているんですね。


ケンサキなんかは甘いけど寿司には硬すぎるとして相性の面から除外される・・・というのはわからなくもないですが、まさかアオリより(釣り人がバカにしてやまない)モンゴウがナンバーワンだなんて・・・


この話には続きがあって、春先にエギングで獲れるような重さウンキロにもなる巨大なモンゴウではなく、1パイのイカから1~2貫分のネタしかとれないような、極小~小イカだけを出しているんだとか。


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これ、自分も


「モンゴウ・・・?シリヤケよりマシくらいのイカだよね?かろうじて最下級じゃないみたいな?」


みたいな先入観を抱いていたので、すきやばし次郎という権威を借りてその払拭作業に挑戦してみたところ・・・

(因みに九州では、モンゴウの小イカはこのような直売所なんかで出回ることがあるので、入手難易度は低いです)




う、うまい!!





としか言いようがなかったです・・・

刺身で食べましたが、その甘味、そのほどよく溶ける舌触り・・・もし寿司として食べるならその歯ごたえがシャリによく合う(絶対にアオリより合う)だろうな~と唸りました。

その日は日本酒が進みすぎて前後不覚になりましたw

尚、すきやばし次郎のイカは九州産だそうです。







この本は・・・


「旨そうな寿司」を眺めるために読むのもよし


「旨い寿司屋の話」を読むために手に取るのもよし


「魚をどうやって美味しくたべようか」というヒントを貰うために読むのもよし


でも一番の読み方は


次郎さんの探究心をちょっとだけわけてもらって、美味しいものを自分で作ってみようじゃないか、食べてみようじゃないかというチャレンジ精神に発破をかけるために読む・・・・というのが最高です。



あまり釣った魚を食べない釣り人にこそ読んでほしい一冊です。



おすすめします。



















おまけ:



ラーメンズの誤解を招くコント "Japan Culture Lab - Sushi"



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Comment 6

2016.09.19
Mon
13:29

汐音 #-

URL

知り合いに銀座の寿司屋で働いてる人が居まして一番高い寿司はコハダの稚魚と聞いたような気がします。

編集 | 返信 | 
2016.09.19
Mon
16:26

ワゴンセール #JalddpaA

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本を押さえてる文鎮がシーフラワー(;^_^A

編集 | 返信 | 
2016.09.20
Tue
09:51

スタッマキンスイマー #-

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この本凄く読んでみたいので買いますね。
自分の価値観を変えてくれそうな本と出会えるのは嬉しいです。

編集 | 返信 | 
2016.09.30
Fri
15:48

ぼらお #-

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Re: タイトルなし

> この本凄く読んでみたいので買いますね。
> 自分の価値観を変えてくれそうな本と出会えるのは嬉しいです。

GOOD!

編集 | 返信 | 
2016.09.30
Fri
15:50

ぼらお #-

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Re: タイトルなし

> 本を押さえてる文鎮がシーフラワー(;^_^A

110gで安心!

編集 | 返信 | 
2016.09.30
Fri
15:52

ぼらお #-

URL

Re: タイトルなし

> 知り合いに銀座の寿司屋で働いてる人が居まして一番高い寿司はコハダの稚魚と聞いたような気がします。

福岡もイイ寿司屋がありますけど、コハダ・シンコが最高に美味い所は未だにお目にかかれたことがありませぬ。

いや、コハダ・シンコの味は知ってるんですけどね、福岡、いや、九州という場所柄が「一仕事して雑魚に命を吹き込む」という寿司の方向性に中々ならないんだと思うのです・・・

ああー、書いてたら酢締めのコノシロでいいから食べたくなってきた・・・

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