春夏秋冬 料理王国 - 読書

春夏秋冬 料理王国

 05,2017 13:21
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北大路魯山人(きたおおじ・ろさんじん)という名前を聞いたことがある人は多いでしょう。


漫画「美味しんぼ」の海原雄山のモデルであり、芸術家(陶芸家)にして稀代の美食家。


傲岸不遜な人であり、偏執的ともいえる『美』への探究心を持ち、一切の妥協を許さぬ孤高の存在・・・


という人物像が何故か出来上がっている(きっと海原雄山のせいだ・・・)と思いますが、実際に魯山人の思想に触れたことがある人は少ないのではないのでしょうか。

自分はこの本「春夏秋冬 料理王国」を読んでから北大路魯山人の料理に対する世界観にはじめて触れて、それから「魯山人味道」や「魯山人陶説」といった本にも手を出してみたクチです。


この本、魯山人の言説の何に共感するのかといえば・・・ズバリ、料理における合理主義ですね。



※※この本の要約※※

・料理の味が高度に分かる分からないは才能である

・才能の問題であるからして、高度に分からないからといって恥じる必要はない

・料理とは「理」すなわち「ことわりをはかる」ものであるから科学的でなければならない

・それは当たり前の前提であって美味い料理の秘訣は誠実さ・・・・真心である


・才能がないにも関わらず、わかった風なツラをしている輩が世の中には非常に多い

・そんな輩に真心を尽くしても仕方がない・・・彼らに相応しいトリック料理法がある(笑)

・人に美味いモノを食べさせるためには人より美味いモノを食べて人より美味しいモノを知っていなければならない

・そのためには絶えず努力することが必要だ

・食器は大切!!マジで大切!!!




誠実さ・・・

親切心・・・

真心がこもった料理・・・


傲岸不遜な人となりとして知られる魯山人のイメージ(実際、万人に向けて自説を受けて入れ貰えるようそれを説く・・・というような文体はほとんど存在せず、「世間と乖離している自己主張を吼える」という印象を与える文体になっています)から程遠い主張のようですが、個人的にはものすごく共感できました。

極上の素材を使って極上の技量をもってして料理を作るとしたら、最後は真心の有無が味の違いになります。

いや・・・極上の素材が使えなくても、調理法が危うくても、心が篭っていればそれなりの味になる・・・ともいいます。




自分の魚さばきの師匠が魯山人とまったく同じことをいってました。




師匠は文盲でした・・・文字が読めませんでした。
多分、小卒・・・いや、小学校すらまともに通ったことがなかったと思われます。
一人で電車の切符を買うことができませんでした。


師匠は高齢でした・・・かつては腕ききの魚屋で包丁一つ手に持って全国を渡り歩いたそうですが、自分が師匠と知り合った頃には、師匠は盗癖が抜けずにしょっちゅう警察の世話になっているおじいちゃんになってました。


師匠はちょっとボケてました・・・ただし、釣った魚を持っていって「さばいて~!」とお願いすると、嬉々として昔の商売道具を持ち出してさばき方を見せてくれました。
その時の師匠はちょっとだけ誇らしげでした。


師匠はかつて大分に住んでいたことがあり、魚をさばく度に「あっち(大分)じゃな、フグの肝(もちろん猛毒)を添えないと売れなくて商売にならんっちゃが(哄笑)」なんて小ネタを話してくれました。


師匠ははじめてみる魚でも、少し触って骨の形状を確かめたならば、3枚にでも5枚にでもあっというまに綺麗におろすことができました。


そんな師匠が魚をさばく際に一番時間を割いていたのが鱗取りでした。


曰く:


「どんなに美味い魚でも鱗が残って食べる人の口に入ってしまったら台無しやろ?」



まるで医師が触診するかのように、指先に全神経をこめて(仮にさばいていたのが雑魚であっても)鱗が残っていないか確かめている姿が印象的で・・・今でも自分の眼に焼き付いています。




食べる人の事を考えながら作ったら料理は不味くなりようがない。




真心を尽くすということは実に日本人的な・・・今風の表現をすると「お・も・て・な・し」的な考えかもしれませんが、自分の師匠も魯山人も合理主義者だったからこそ、その境地に至ったのではないかな~っと、なんとなく、今はそう思っています。
「この美味しい魚を味わってもらいたい」という特別な人のため、特別な機会のために魯山人イズムを知っておくのは損ではありませんぞ!


この本はエッセイ調に、1話1話短い文で構成されており、「ゲージツ・テツガク」の難解な話しはありません。

料理のレシピ本でもありません(皆無ではない)。

ところどころに「鮎は云々」「猪肉は云々」「あの料理は云々」なんてネタが入りますが、料理の際に実用性を伴う本というよりは、「美の巨人」として伝説化されて異世界の住人となってしまった(絶対に海原雄山のせいだ・・・)魯山人の等身大の姿に触れるものです。


最後にこの本で一番好きな箇所を少し引用して終わります。


私にはこんな経験がある

夏場の刺身として、スズキやカレイの洗いがある。
私は長いことああいうものはについて考えていた。
普通の料理屋のものは、肉が紙のように薄い。
ああ薄く切ってこともなげに洗うから、まるで刺身の命抜きになって、食っても一向にうまくない。


(中略)

しかしこの頃、別の考えが起こって来ている。

近頃薄い作りでやってみると、必ずしも悪くない。
なるほど、薄いのは中身が足らず物足りない。
味がないといえば味がない。
けれども酷暑の刺身として、チビリチビリ酒でも飲む者には、ちょっと摘むにはいかにもサラッとして涼味がある。
極薄な味の無いところがかえってよいのではないか。

長年やってみての上でようやくそんな気もしてきたというわけだ。




一度否定したもの、決して肯定的に捉えなかったものの価値がわかるようになる。

物事を別の角度から見ることが出来るようになる。

魯山人という美の巨人であっても誤ちがあって、それを認めることがある。




ということは、釣りの世界においても似たようなことがあって不思議ではないわけで・・・


業界の巨人ですら誤謬を犯すことがあるならば、自分のような小物がインプレや論評上の間違いを起こしたり、間違いを認めることもなんら不思議ではないわけです。


すわなち、ここに完全なる自己正当化が成り立つのでした・・・ちゃんちゃん!


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Comment 16

2017.01.05
Thu
14:33

MOSS77 #Pe0og0Jg

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スレ違いで申し訳ないですが

例の件、あちら様から思い切りケンカ売られてますが、なんと言いますか、相手にしない方がいいと言いますか・・・
まぁ、僕が心配するまでもなく、ぼらおさんは相手にもしないでしょうが、なんか周りが煽って変な方向に行ってるような気がします。あちらの方は何されてる方なのかもさっぱり分かりませんが、嫉妬なんでしょうかね?(笑)
あまりに露骨なんでlivedoor運営者に相談してみようかと思うくらいです(^^;
とりあえず、これからもこのブログは参考にさせて頂きますので、嫉妬妬み中傷を気になさらず頑張って下さい

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2017.01.05
Thu
14:50

一ファン #-

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ぼらおさん、お見事!

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2017.01.05
Thu
15:41

小鉄 #-

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No title

お見事です。

しょうもない小細工して、自分を正当化しようとする。
すぐに感情的になるバカは相手にしないことですね

そのうち自爆するでしょう

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2017.01.05
Thu
16:05

 #-

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完璧です!お見事!
レベル違いすぎる。

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2017.01.05
Thu
19:49

元ロン毛 #-

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あちらには通じてませんね、予想通りでしょうが。
色々法にも抵触しそうな自覚は無い方の様ですな。

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2017.01.05
Thu
20:14

植木屋やま #-

URL

先日からの記事や皆さんのコメを見て
え?何の事?
って何も分からず傍観してましたが本日相手方のブログにたどり着きまして拝見しました。
某プロって何のプロですかね?
悪態が最悪ですね、最も悪い。
あいつは恥ずかしい奴だ!
‥と思います。

しかし本日のぼらおさんの記事。

最高です!
お見事です!
器が違います!

紹介してる本も読みたくなりました!
今年もぼらお節を楽しみにしてますよ(^o^)

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2017.01.05
Thu
20:37

ヒデ #UHehxFXA

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自分の信じる道を進んで下さい
それが王道であり
人が付いてくる道です

下らない続、パチプロの言えない
なんとか?笑いのネタにどうぞ・・

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2017.01.05
Thu
23:36

フラットテイル #-

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>食べる人の事を考えながら作ったら料理は不味くなりようがない。

ってことは、「読む人の事を考えながら書いたらブログはつまらなくなりようがない。」って事ですね。

自分の事ばかり考えていると、そりゃあOEM記事(←嗤 リスペクトに続く新語だ!)ばかりになりますわなぁ…。

今年も、読んでくれる人の事を考え、自分で調べた事、自分で釣った魚、自分で買って使った道具、自分で行った場所、自分が読んだ本etcの記事を楽しみにしております。

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2017.01.06
Fri
00:17

しかちゃん #-

URL

瞬間的に4~5通りの事を考えてしまう癖・・・

私は子供のころから目の前の事象に対して、
何でだろうと思うのと同時に、
その原因を瞬間的に4~5通りのストーリーにして考えてしまう・・・
特技と言って良いのか分かりませんが、
そんな癖を持っています。
色々な事が見えてきてしまい、困ることも多かった。

人に苦痛を与える事は、
良いか悪いかで言ったら悪い事です。
魯山人のように大所高所から事象を見れば、
今回の事は何でも無いと思えてしまいます。
ユーモアと的確な表現のぼらおさんが好きですよ。


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2017.01.06
Fri
00:49

ぼらお応援団 #-

URL

ないす٩(๑>∀<๑)۶
某、粘着。気持ちわる。
意見はメールか、ラインでって…
粘着と一瞬でも繋がりたくないんじゃ。無記名のコメント欄でも作ってみろw
きっと、1日に何度もここチェックしてんだろ?
某、気持ちわる〜

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2017.01.06
Fri
03:54

コモモドラゴン #-

URL

おかえりなさい、ぼらおさん。

例の某ですが、金に踊らされ中華ルアー販売の斡旋とかやり始めた時点で釣り業界のことなんて考えてません。
昔はもっと良いこと言ってたのに…

ぼらおさんは「消費者」という立場から、良いものは良い、悪いものは悪いと、政治的力や個人的嗜好に左右されず文章を書き綴っているので、こんなにもファンがいるのだと思います。

これからも応援しています!

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2017.01.06
Fri
08:51

ひも #-

URL

「食べる人の事を考えながら作ったら料理は不味くなりようがない。」

その通りだな~と思いました
誠実であろうとする姿は食べる人にも伝わります

これからも応援しています♪

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2017.01.06
Fri
12:34

釣り変態 #-

URL

スレ違い申し訳ありません。

ぼらおさんに向けてのコメントというより今後このブログに新たに足を踏み入れる方に伝えたい。本当に釣りが心から好きな方なら読み比べれば必ず解ります。以上。失礼いたしました。

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2017.01.06
Fri
15:39

マジネ #-

URL

私には関係なく思ってましたが、酷すぎる。

ありゃ、某→坊ですね。。
やる事も対応も全てガキ
変な反論してないでペニ◯サックしゃぶって寝んねしてればいーのに。
直接オレに言えって…。コメント欄あったらボロクソ書いてやんのに〜

すみません場所汚してm(_ _)m。

チェックしてる坊やすぐ目につくと思って。

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2017.01.07
Sat
03:10

石鯛 #y8j/9w2E

URL

いつも的外れで斜め上な事を書き込んでボラオさんに迷惑かけているという自覚がある”石鯛”です。オレみたいなピント外れなコメントでもちゃんと応答していただけるボラオさんは尊敬に値します。翻って彼のブログはどうですか?こんなコメント欄ありましたっけ?多分、自分の言いたいことは言うけど他人の意見(直言・苦言)は聞きたくないんでしょうね。www。(職業上こういう輩にかかわるけど敬遠したい。)”一切許可も協力もしていないです。”という文言であそこまで反応するという事はそれだけやましい心当たりがあるだろうと推察(確定)します。タヒればいいのにwwww

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2017.01.07
Sat
14:15

貧弱 #-

URL

先日、と言うか昨年ですね、
社員旅行で和歌山の加太へ行った折、
向こうも名物なので鯛を頂いたのですが、
明石のぶつに馴れてしまった私には
薄造りは少々頼んないなぁと思い満足でき
ませんでした。

が、そういうことなんですね。
醤油蔵の湯浅も近いし、醤油で喰わそうと
(呑まそうと)していたのかも。

色々未熟者だなぁと感じる次第です。

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