フックの強度は何によって決定されるのか① - 初心者のためのフック講座

フックの強度は何によって決定されるのか①

 09,2017 12:15
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人は言います・・・


「○○製のフックは弱い」

とか

「いや、○○のフック全てが弱いんじゃない・・・○○製でも△△というフックは強い」

とか

「フックなら■■製一択だね」

など


でも、真面目に考えたことありますか?


フックの強度は何によって決定されるかを。


フックメーカー?

フック形状?

フック品番?

フックサイズ?

フック重量?

フックに使われている線径(軸の太さ)?


自分もこのことについては調べるまで無知でしたが、今わかっていることが少しあります。


それは・・・






・フックの強度の大部分は鋼線の性質と太さに基づくこと

・フックメーカーは鋼材屋ではないということ



この2つです。


結論をいえば、フックの強度は線径・・・鋼線の太さによって決定づけられる、と言い切ってもいいでしょう。


この観点から大手フックメーカー二社(がまかつ・オーナー)のHPを見ると、がまかつのほうがユーザーとの「インフォームドコンセント」が進んでいるといえます。



クリックすると拡大します

SPMH.jpg


この表はがまかつのHPで公開されているものですが、表上部はフック毎の重量を、表下部はフック毎の線径・・・つまり軸の太さ表しています。

この表から「フックの強度の大部分は鋼線の太さに基づく」という例を挙げてみます・・・


SPMHの#4の鋼線の太さは1.07mmですから、RBHの#6と同等の太さです・・・・即ち、SPMH#4とRBH#6はほぼ同等の強度を持つと考えられます。


フックの強度はスロープドベント(SP)かラウンドベント(RB)かというフックの形状で決まるものではなく、#4か#6とかいうフックのサイズで決まるものではない、ということです。


別の例を挙げます・・・


SPMHの#1の鋼線の太さは1.36mmですから、トレブル14の#2とRBHの#3と同等の太さです・・・即ち、これら3種のフックはほぼ同等の強度を持つと考えられます。


フックの強度は重量(1.50gのSPMH#1と1.41gのトレブル14#2)で決まるものでもなく、パワー表記と型番(SPMHかRBHか)で決まるものでもないということです。


※注※
なぜ「同等の強度を持つ」ではなく「ほぼ同等の強度を持つと考えられる」という回りくどい表現を使っているのかというと、ゲイプ幅やポイント長の違いなどの設計使用の違いで強度にも若干の違いがあると考えられるからです・・・完全に同じというわけではないでしょう。




ま、重量に関しては結果的には強度と比例していることになるのですが、厳密な定義によれば違うということですね。



この表から覚えておきたいことは1つです。





・鋼線が同じでかつ鋼線径が同じであるならばフックの強度はほぼ同じである





次に、「鋼線の性質」は何によって決定されるかを考えてみましょう。


いや、物凄く単純なことなんですけどね・・・一言でいえば「炭素の量」と「焼入れ」です。


すなわち鋼線の素材選びと加工処理によってフックの性質が決まります。


「硬いが折れる」と言われるフックは炭素が多い鋼線を使っているか、あるいは強い焼入れをしています。


「柔らかくて伸びる」と言われるフックは炭素が少ない鋼線を使っているか、あるいは弱い焼入れをしています。


その組み合わせはメーカー毎のレシピで変わってきます。


お気づきの方もいるかもしれませんが、前者ががまかつの、後者がオーナーのフックの特徴であるとされています。


・・・が、実はがまかつは線径が小さくなればなるほど「柔らかくて伸びる」ように、太くなればなるほど「硬いが折れる」よう設計しており、一概に「がまかつのほうが硬くて強い」とは言えません。
がまかつがオーナーより「硬くて強い」と感じ始めるのはSPMH#6とRBMH#5のサイズからでしょう。


DSCN0356gh.jpg


個人的には、がまかつのほうがオーナーより用途・サイズに合った「適材適所」な素材選びと処理をしているんじゃないかと推測しています。


ここで思い出してもらいたいのが、「フックメーカーは鉄鋼材屋ではない」ということ。


がまかつやオーナーは独自のテクノロジーによって鋼線を開発・生産しているわけではなく、(多少の仕様注文はあれど)出来合いの、鋼材屋の鋼線を仕入れて加工しているに過ぎないということです。


拍子抜けするかもしれませんが、フックの軟硬はメーカーの技術力の差を指し示しているというよりも、設計思想の差を違いを指し示していると理解するといいでしょう・・・・正確にいえば、フックの「適切な硬度」は技術力の優劣に関係していますが、それは純粋技術問題というよりは加工難易度の違いや歩留まり率の関係から導き出されて考えること・・・つまり「経営問題」の範疇に入るとみて構いません。


つまり、由緒正しき鋼線を仕入れており、ある一定レベルの技術力を有しているという前提があるならば、実はフックの強度はメーカー毎の差があまりないということになります。
(個人的にはフックの品質の優劣は加工技術力よりも品質管理の意識がより関係しているものだと推測しています)


もっと簡単にユーザー目線でこの問題を述べるとしましょう。


同じサイズで同じ重量で同じ鋼線径の硬いフックAと柔らかいフックBがあるとして、同じ負荷を掛けたときにAが破断し、Bが変形するという結果になったとします・・・この結果にはABのフックとしての優劣は存在せず、実釣ではAもBも魚を逃したであろうという結論しか得られない・・・ということになりますよね。

また、仮にAもしくはBのどちらかが優れた結果になったとしても、もう一方を強度で大幅に上回るような結果にはならないであろうということが予測できます・・・何故ならば「フックメーカー程度の焼入れ技術」がプリミティブな素材である鋼線の強度に天と地ほどの違いを生み出すほど、冶金技術・素材テクノロジーというものは甘くないからです。
つまり、鋼線の太さこそがフックの強度を決める一次要素であって、焼入れ処理やフック形状などはフック強度を決める二次要素にしか過ぎないということです。


・・・ま、あえて個人的感想を添えるとするならば、「シーバスには柔めより硬めほうがよい」程度にとどめておきます・・・


つまり強度の絶対値は鋼線の炭素量や焼入れの結果に生じる「軟・硬」といった性質よりも、もっと単純なこと・・・鋼線の径によって決まると理解してかまわない、という結論に達するわけですね。


DSCN2090gh.jpg


この点はロッドメーカーがよく言う「独自カーボン技術云々」の問題と似ています。


ハッタリロッドメーカーほど「ハク」をつけようとして「独自ナントカカントカテクノロジーガー」と叫びますが、何の事はない・・・東レなりなんなりの出来合いのカーボンを仕入れて加工しているだけ。


ロッドのプリプレグシートと同じく、フックの鋼線も(語弊があるかもしれませんが)「誰でも入手できるもの」なんです。



いや、フックメーカーはロッドメーカーほど(鋼線素材の)独自技術云々などを誇大的に吹聴しないものですが(苦笑)






・・・今回はここまで。

つづく。
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Comment 2

2017.03.12
Sun
20:26

元ロン毛 #-

URL

ケースハードには浸炭の他に窒化が有ります。
針屋が処理するかは判りません。

編集 | 返信 | 
2017.03.12
Sun
21:20

元ロン毛 #-

URL

追加 他にもケースハード処理は有りますが、針の処理は浸炭と窒化でしょうね。

編集 | 返信 | 

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