トレブルフックと化学研磨~化学研磨にまつわる誤解 - 初心者のためのフック講座

トレブルフックと化学研磨~化学研磨にまつわる誤解

 23,2017 11:36
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①化学研磨って何?

②フックに化学研磨を施す理由は何?

③化学研磨されたフックを研ぐのは意味がないってホント?


・・・すべてこの記事で説明します。





化学研磨って何?

化学研磨とは・・・・金属を溶解性の液に漬けて、化学反応によってその金属を溶かし、意図したカタチに整える技法のことを指します。

かなり奥が深い世界です。
特許だらけの世界です。

研磨する対象の

金属が違えば
形状が違えば
用途が違えば
サイズが違えば

あるいは↑これらの組み合わせが変われば、必要とされる化学研磨の技法がガラリと変わるようです。

研磨する理由の多くは「バリを除去して表層を削り整え、均一なクオリティーに仕上げたい」というものですが、中にはワザと金属表面に溶剤では研磨されることのない物質を塗布し、塗布されていない箇所との化学反応の違いを利用して意図したカタチに仕上げる、なんてフクザツな形状加工のために行うこともあるようです。

フック製造における化学研磨の目的を端的に説明するならば、化学研磨は仕上げの一工程に過ぎずフックの鋭さを決定づけるものではありません。
ここに誤解が存在するようですが、フックポイントは化学研磨で形成されているわけではありません。
鋼線を尖るように切削加工し、物理的に研磨して、シャープなフックポイントが作られるのです。

ここで我々ソルトアングラーが知っておきたいのは「化学研磨」とは(当たり前ですが)釣り針業界の秘技でもなければ、釣り針業界が世界をリードする技術でもない・・・ということと、原始的な化学研磨技術は誰でも持っているということ、先進的な化学研磨技術は金で買えるということ。
それに加えて、原始的な技術であっても先進的な技術であっても、まったく同一のレシピを二つの別の会社が行ったならば結果に違いがでても全然おかしくない、ということです。
化学とは再現方法がレシピによって判明していたとしても、些細な環境の差や、積み上げてきたノウハウの違い、それから実際に作業を行う人の個性よって結果に「幅」が出るものでるからね。


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フックに化学研磨を施す理由は何?

おおよそ、3つの理由があるようです。

あ、その理由を説明する前に、一つ。

すべてのトレブルフックが化学研磨されているわけではありませんし、「フックが化学研磨をされている・されていない」は、ユーザーに必ず説明されるべき情報として位置づけられているわけではありません。

ですが、化学研磨というのはコストが掛かるものですから、当然それは値段に反映されているものとみなすべきでしょう。

つまり

・お高いフックは化学研磨をされている可能性が高い
・お安いフックは化学研磨をされている可能性が低い
・ただし、必ずそうである保証はない

ということになります。
また、化学研磨の質にもよって値段は左右されるでしょう。
原始的なものは安く、先進的なものは高い、と。


話を戻します。

そもそも釣りに使われるフックは「超ミクロのなんとかかんとか」とか「電子のなんとか作用が導体になんとかかんとか」とかそういう先進ハイテク技術とは関係ないので、フックに化学研磨が施される理由は前項で説明した


「バリを除去して表層を削り整え、均一なクオリティーに仕上げたい」


これになります。

フックは化学研磨されることによって

1.フックのバリが除去され、表面の凸凹が均一になることによって刺さりがよくなる
2.フック重量のばらつきが小さくなる
3.表面が綺麗に整えられることによってメッキなどの防錆加工の効果が高まる

これらの効能が得られます。

余談ですが、がまかつのSPMHやRBMHなど、ハイパーシールドが施されたフックの値段が高いのは、いや、高い値段を付けざるを得ないのは、ここに理由があるんじゃないかと勝手ながら思っています。

がまかつのハイパーシールドの凄さは皮膜そのものの性能もありますが、化学研磨の精度の高さから始まっているんじゃないかと。
よく表層が整えられているからこそ均一な皮膜が鋼線を覆います。
お化粧と同じでファンデーションが大切なのです。
凸凹が無い(少ない)と、皮膜の欠損によって生じる腐食発生および進行の可能性が低くなります。
イメージすると分かるかと思いますが、鋼線の表面に放置された突起・・・金属バリなど・・・がそのままメッキされると、そこが相対的に腐食に対する脆弱性となるわけですね。
針という「突き刺す用途」の物質表面に生じている突起は癌細胞となりえるわけです。

防錆加工とは「とにかく表面をコーティングしてしまえばOK」的な、単純な話ではないようです。


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化学研磨されたフックを研ぐのは意味がないってホント?



ウソです


フックの鋭さは次の要素によって決定づけられます

①切削・研磨加工の精度
②検品
③加工から流通までの取り扱い

これが新品のフックの鋭さを決定する三大要素です。

たしかに、バリや凸凹の有無も関係しています。
たしかに、防錆効果のある皮膜が厚ければ刺さりが悪くなり薄ければ良くなります。
たしかに、錆びに強ければ鋭さが長くつづきます。
ですが、これらは上述の三大要素に比べたら枝葉末節といってもいい要素です。
鋭いフックをよりシャープなものにするとか、その鋭さを長く続かせたいとか、二次的、補助的な要素です。

フックを自分で研ぐということは、そのフックの初期の鋭さが失われているということ。

つまり、化学研磨の上位事項・・・・化学研磨の前提が失われているのでフックシャープナーで鋭さを復活させようとすることには意味があります。

・フックシャープナーで鈍くなったフックを研いで再びシャープになったとしても防錆性は戻ってこない
・フックシャープナーでは表面のバリや小さな凸凹を除去できない(むしろフックシャープナーはそれらを作り出す)

これらは事実です。

が、潰れたり鈍ったりして刺さりが悪くなったフックに防錆もバリもクソもないわけです。

非モテ童貞が今から結婚の心配してもどうしようもありませんよね?
そういう場合、まずは諭吉を数枚握りしめて飛田新地とか中洲一丁目とかに飛び込んで応急処置をするわけです。
フックシャープナーで研ぐということはそういうことです。



フックシャープナーで研ぐことによってフックの初期状態を取り戻せるか否か



という観点を議論しているならば、答えは「フックシャープナーはフックを初期状態に戻せません」になります。



フックシャープナーで研ぐことによってフックは実戦での使用に耐えうる鋭さを取り戻せるか



という観点を議論しているならば、答えは「フックシャープナーはフックは実戦で十分使える鋭さを取り戻せる」になります。


ここを混同なさらぬよう、注意されたし。







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Comment 5

2017.03.23
Thu
20:57

CT #-

URL

>3.表面が綺麗に整えられることによってメッキなどの防錆加工のノリがよくなる

これはあり得ません。
メッキの強度は母材表面の粗さが大きいほど強くなります。

>余談ですが、がまかつのSPMHやRBMHなど、ハイパーシールドが施されたフックの
よく表層が整えられているからこそ皮膜が綺麗に鋼線に乗ります。

上記同様


>凸凹が無い(少ない)と皮膜が綺麗に表面を覆うので、覆われなかった部分の腐食発生および進行の可能性が低くなります。
しかも凸凹が無い(少ない)ということは皮膜そのものも薄くできるわけで、刺さりの良さを損なわずに済むわけですね。

メッキは母材の凹凸に倣って成長するので、母材の凹凸はメッキの厚い薄いには影響しません。
そもそもフックのメッキなんて溶融亜鉛メッキとかの雑なメッキなんで、ホントに高精度な0.1ミクロンレベルのコントロールができる代物では無いと思われます。

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2017.03.24
Fri
18:08

幸 #-

URL

トヨタ-センチュリーのバンパーは素材を鏡面に仕上げてからめっきをしています。素材の仕上がりめっき飲み会仕上がりはイコールとの事です。

編集 | 返信 | 
2017.03.27
Mon
14:14

SurfaceSummer #-

URL

「非モテ童貞が今から結婚の心配してもどうしようもありませんよね?
そういう場合、まずは諭吉を数枚握りしめて飛田新地とか中洲一丁目とかに飛び込んで応急処置をするわけです。
フックシャープナーで研ぐということはそういうことです。」
おもしろいけど、言い得て妙というほどでには感じませんでした、、。もっと面白いのがたくさんあったせいだとは思いますが。

編集 | 返信 | 
2017.03.28
Tue
16:11

まっつー #-

URL

メッキ技術どうこうの話ばかりでこの記事の中でアングラーにとって一番実用的な疑問である「化学研磨されたフックを研いでも意味がないって本当?」に関するコメントがないのが残念な気がしますね。

以前の記事でもコメントさせていただきましたが「化学研磨のフックを研ぎなおしても意味がない」と思い込んでいる人が多いこと多いこと。

>フックシャープナーで研ぐことによってフックの初期状態を取り戻せるか否か

>という観点を議論しているならば、答えは「フックシャープナーはフックを初期状態に戻せません」になります。

>フックシャープナーで研ぐことによってフックは実戦での使用に耐えうる鋭さを取り戻せるか

>という観点を議論しているならば、答えは「フックシャープナーはフックは実戦で十分使える鋭さを取り戻せる」になります。

これが全てですね、まぁ鈍ったフックを即新品に換装できるお大尽であれば関係ないでしょうが鈍ったフックのまま釣り続けて研いでも意味がないとのたまうのは勘違いも良いところでしょう。

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2017.03.30
Thu
13:00

danner #-

URL

いろんな魚釣りブログのいたるところに散りばめられた「化学研磨は研いでも意味がない」を鵜呑みにして、シーバス釣り開始からの一年間を過ごしました(^_^;)

その後このブログでのフックの鋭さの重要性について幾度も言及されてるのを読んでるうちにどんなフックでも「鈍れば研ぐか替える」という習慣が身につきました。

その後の数ヶ月間ですでに最初の一年の釣果の数倍に上がりました

それはもちろんポイント開拓や釣り方のコツなどフックの鋭さとは関係ない部分も含まれるとは思いますが、「ルアー釣りというのは人為的に釣れる可能性を上げていくもの」という観点で結果を考えれば、鈍れば研ぐという作業がもたらしてる効果は大きいものと思います。

ありがとうございます!書いてほしかった記事を読めました!

メッキのノリ云々に関してはコメントされてる方の意見に同意な部分は多いですが、結果的に表面加工がなめらからなほどメッキのノリはよくなくとも、表面積が小さくなることと刺さりの良さやサビにくさは比例するものだと思いますので、結果的になめらかに研磨された釣り針を作ってるメーカーの商品ほど信頼できるものとなっていると、個人てきには思います!

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