曲がらないロッドの悲哀 - 初心者のためのシーバスロッド

曲がらないロッドの悲哀

 09,2015 14:35
前回の記事、「トルクってなあ~に?~補講編~」の最後は



ロッドは曲がらないと働かないのです




という一文で締め括られています。

ロッドが曲がるのは当たり前だろ、と、ナンセンスに聞こえるかもしれませんが、実はこの「曲がるロッド」というは貴重で得難いものである、ということを知っておいてください。







ある晩、バイブでエイを釣ったアングラーを目撃しました。
その人はタモを携行していなかったので、どうやって揚げたらいいのか困っていました。

その騒ぎを見て駆けつけたエサ釣りのオジサンは、釣れたのがエイであると確認すると、「なーんだ、エイか」という感じにその場から距離をおきます。

高みの見物をしゃれこむようです。

自分のタモを出すことによってリスクを負うことを避けるため(タモを携行していないド素人が、タモ入れどころか図々しくアカエイの処理を頼もうとするのは珍しくない)ですが、「あっちの足場が低いから、そこで回収するといい」と教えてあげるくらいの最低限の親切心は持ちあわせているようでした。


ここまでは、よくある光景です。

ですが、一つだけ、非常に気になる事があったので、自分もエイとの格闘を眺めることにしました。


自分が気になったのは、そのロッド。


恐らく「数千円」程度(ルアーロッドはそのガイドを見ると大体のランクが分かります)であろうそのロッドは、まるで機能していません。
もしかしてシーバスロッドというよりライトショアジギもエギングもこなす「マルチロッド」だったのかもしれませんが、



バットが全然曲がっていなかったのです



掛かっているはどうみても小エイ。小座布団。

普通のシーバスロッドならば、一度底から剥がしたら瞬殺サイズ。

ですが、バットが曲がらずにティップだけ曲がっているので、ロッドによる負荷(復元力)が発生せずにティップの曲がりとリールのドラグ負荷だけに頼っていました。

簡単にいえば、ロッドがノサれていない状態のまま、事実上、ノサれていたのです。


普通ならバットが曲がって復元力を働かせることによって魚を疲れさせるものですが、ティップしか曲がっていないので


全然寄せられないのです


エイが気の毒でしたが、どうしようもありません。


障害物がないオープンスペースで、飛び跳ねることがないエイだったので、(エイに憐憫の情をかけなければ)ドラグの負荷だけでも時間さえかければやがてランディングできたことでしょう。
ですが、もしこれがシーバスだったら確実にフックアウトしていたはず。
オープンスペースでなければ最悪の形(ルアー付き・リーダー付きラインブレイク)でフックアウトするはずです。





ロッドが曲がらないということは、こういうことです。




実は、実売2万円以下(特に実売1万以下)のロッドには「ティップが硬すぎて弾いてしまう」駄ロッドの他に、「ティップは曲がってもバットが硬すぎて曲がらないから、事実上パワー不足でノサれてしまって寄せられない」駄ロッドがごろごろ転がっているものです。


余談ですがロッドのティップを天井に押して調子を確かめる・・・なんて行為にあまり意味がなく、結局は買って使わないと分からないということは、こういうことです。
どうしても購入前に「調子」を知りたかったら、ライン付きリールを持参してリールを装着し、ラインを通して水が入ったペットボトルをリフトするとか、ラインの先端を店員さんにイロイロな力加減で引いて貰う必要があります・・・ティップを天井に押しても、初心者である貴方がその行為で得る情報は「この天井はホログラムではない」程度のものでしょう。




よく曲がるロッドを形容するにあたって、「ふにゃふにゃして気持ちが悪い」というネガティブな表現を使う人も見受けれれますが、十中八九、その方は魚とのやりとりに十分な経験がないといえるでしょう。

基本、ブランクが、特にそのバットが綺麗に曲がるということは正義です。

曲がるロッドはドラグに仕事をあまり与えません。

マグロを始めとする青物の釣りはまた別の話ですが、シーバスレベルの釣りでは、ブランクのベンディングで吸収できない力や、瞬間的なダッシュを吸収するのがドラグであって、その「寄せ」と「いなし」の主体は間違いなくロッドにあります。

それを「ふにゃふにゃ」と形容する人は、よほど酷いロッドにしか巡り合ってこなかったのか、それともMCワークスやFCLLABOのような剛で業なロッドばかりを使ってきたハードコアな上級者のどちらかでしょう・・・


もしそれが「大物が掛かったときのストラクチャーとの関係と主導権の取り方について」の観点からロッドを語っているとすると、それは多分(まだ断言できませんが)間違いであろうと思われます。

いま、そのトピックに関して自分自身が迷宮に嵌っているので確固とした回答ができないのですが、

「大物が掛かったときのストラクチャーとの関係と主導権の取り方について」


というテーマには次の順番で大切になっていくという結論にまとまりつつあります

①フックの強さ
②リーダーの長さと強さ
③メインPEの強さ
  ・
  ・
  ・
(?)ロッドの強さ

つまり、強引なパワープレイにロッドの強弱はあまり関係ない・・・といえば語弊がありますが(というもの、関係は、やはり、ある)、ロッドの更に上位の概念が存在するということです。









難しくなってしまったので簡潔にまとめます。

・基本、曲がるロッドは「パワーが無い」とされていたとしても、初心者にとってはプラスとなるファクター

・ロッドの評判に「ぺらんぺらん」「ふにゃふにゃ」というような貶めるような内容があったとしたら実は褒め言葉である可能性が高い

・まだ見ぬビッグな魚を夢見て強いロッド(曲がりにくいロッド)を求めるのは早計すぎる

・そういうことは実際にデッカイのにぶっちぎられてから考えればいい

・実際にぶっちぎられたとしても、尚、「じゃあ強いロッド」は短絡的かもしれない



ロッドは本当に、奥が深い。
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Comment 4

2015.05.10
Sun
21:59

トチロー #-

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曲がるロッド

ぼらお様、お久しぶりです。
毎回楽しい話題ありがとうございます。
そうだよな~とか、そういう考えもあるのか~とか、マジですか!とか・・・・
最高です(笑)。
さて、曲がるロッドの件ですが、僕は年齢的に爺クラフトなので
北西スペシャルとモンスタージェッティーを時々使用しております。
友人との釣行は荒れたら、スズキ、べた凪なら真鯛に狙いを決めております。
真鯛はヒットしたら根にまっしぐら突進するので僕は、ロッドパワーで強引に
止めますが、かえって暴走したり根で切られたりして勝率は5割です。
かたや友人は、今の時代無いでしょう!てな感じのブヨンブヨンの古いザウルスの
ロッドを愛用してます。
ヒットした真鯛は、口の周りに何か異物が引っ掛かったような半信半疑のまま
ランディングされてます。
体力が消耗されてないので、水揚げされてからいつも猛烈に暴れます(笑)。
超軟派ロッドでドラッグもユルユルですが問題なく60アップをとってます。
パワーや反発力を売りにしているロッドは多いですが、それが全てでは
ないのですね。

編集 | 返信 | 
2015.05.11
Mon
09:20

しんのす #-

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ラテオ大好き

シーバスを始めて一年が経ちました。最近はラテオLL-Sを愛用しています。
とてもノリがいいと思います。オートフッキング感覚ですね。67㎝までは問題なく獲れてます。今では最初の1本はこれでも良かったなと思います。

編集 | 返信 | 
2015.05.12
Tue
21:51

ぼらお #-

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Re: ラテオ大好き

> シーバスを始めて一年が経ちました。最近はラテオLL-Sを愛用しています。

ラテオは何がいいかというと、バットの曲がりの素直さが本当にワンランク上のモノなんですよね。
あの素直さを楽しんだ上で、他のシーバスロッドを経験するときっと世界が広がると思います。

編集 | 返信 | 
2015.05.12
Tue
22:09

ぼらお #-

URL

Re: 曲がるロッド

>トチローさん


非常に興味深いコメントをありがとうございます。
自分が陥った「迷宮」に良く似た状態を的確に指摘されており、大きな感銘を受けました。
このコメントを頂いたので、さらに番外編の記事を書いてみたいと思います。

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