ラインシステムの基本とショックリーダーの強さ - 初心者のためのシーバスライン

ラインシステムの基本とショックリーダーの強さ

 10,2014 14:22
PEは直結ではいけないということは前回でハッキリしました。

では、ショックリーダーはどれくらいの強さ(太さ)を選ぶべきなのか。

今回はラインシステム≒「タックルバランス」について考えてみます。

注※
「タックルバランス」という言葉をロッドとリールの重量配分を含んだ「手にとったときの感覚」と捉えている人も多いですが、本来タックルバランスとは

魚の口→フック→スナップ→ショックリーダー→PEライン→ドラグ→ロッド

この一連の流れで魚を寄せるためのトータルバランスを指します。



例えば、大きな魚を狙うとします。

当然、強めのラインに強めのリーダーと固めのドラグで挑むことになるでしょう。

ところがフックという概念が抜け落ちていると、小さなフックで大きな魚を掛けたとしても一番弱いフックを簡単に曲げられて逃すハメになります。
するとフックを大型化すればいいのかというと・・・小型~中型ルアーはアクション設定や浮力の問題で大型フックの装着が難しい場合が多く、解決するためには
①大型ルアーにして大型フックをつける
②大型フック化は諦めてドラグを緩めて勝負する
というような二通りの解決策が考えられます。

①を選んだ場合、当然ながらロッドはガチムチの強いロッドになる傾向があるので、「強いロッド・固いドラグ・強いライン・強いフック」ということでゴリ巻きファイトというタックルバランスを選択したことになりますが、あまりにも強引にやると今度は「身切れ」、つまりは魚の口がその強引さについていけない、ということが発生します。
それ以前に、そのタックルでは大物一発狙いの玄人志向で、セイゴフッコは弾きまくって中々掛からないか、掛かっても瞬殺過ぎてやりとりが楽しくないでしょう。

②を選んだ場合、強いロッドを選ぶ必要もなく、ドラグが緩いならばPEもリーダーも太い必要がないでしょう。
ですがその代償として「障害物のないオープンフィールド」の釣りしかできません。

これが、タックルバランスという概念です。

何かを大きく強くすればするほど、ロッド・ドラグ・ライン・フック(更に厳密にいえばスプリットリング)・スナップ・魚の口、いずれかの内の最弱の部分が次なるボトルネックとなって障害になります。
なので、タックルバランスを考える時は
「自分がどのフィールドを想定しているのか」
「自分が釣って楽しい魚のサイズはどれくらいか」

ということを、冷静に、謙虚に想定しないといけません。

例えば、都市港湾の埠頭を想定している場合、仮に狙うサイズが大きくともタックルは無闇矢鱈に大型化をせずとも問題ないでしょう。
ところが、根が点在するフィールドや、早い流れとストラクチャーが絡み合うような河川だと、強引なやりとりで主導権を握らないと障害物にラインを擦られてアッサリ切られることもザラです。
また、雑誌や上級者のブログを見ていると自分もランカー狙い、最低でも70cmが満足サイズ・・・なんて気分になってしまいますが、そのような初心者には非現実的な設定をつくっていると、数釣りで楽しい45~60cmのフッコ狙いが制限されます。見栄を張らないことも大切です。
某有名プロもフッコサイズの数釣りはランカーハンティングと同じくらい楽しいし、奥が深いとも言っていますね。


前置きが長くなりましたが、本題に入りましょう。

一般的にはショックリーダーはどれくらいの強さがあればいいのか。

この問への解は、今さっきがた書いたように、「何を想定するのか」で変動するので、これという決まりがありません。

ですが、初心者にとって「状況による」という一言ほど実に役に立たない言葉もないので、ケースバイケースの大体の目安と考え方を書いていこうとおもいます。

基本概念

111.jpg

物事を単純化するために10単位にしようかと思いましたが、シーバスに一般的な単位にしてみます。

さて、この図で使っているPE1号が16lbとして、一般的なFGノットによる結束部分の強度低下の結果、結束部分でその70%の性能まで下がっているとします。
つまり、この時点でPEは16lbの70%=11.2lbの強さの「期待値」を持ちます。

注※
なぜ「期待値」というような婉曲的表現を使うかというと、結束の出来によっては強度低下が60%かもしれないし80%かもしれないし、そもそも品質にばらつきがある製品だと新品の時点で既に10~14lb程度しかない可能性もあるからです。残念ならがら、そういうPEラインは存在します。劣化によってPE自体が弱るのも当然予想できます。

すると、ショックリーダーとはPEより先に切れて貰いたいものなので、11.2lb以下の物を使うというのが普通の考えになります。

よってこのもっともオーソドックスなラインシステムの場合、ショックリーダーは10lb程度、ナイロン/フロロ(特にナイロンの場合でリーダーを1回1回新調しない場合、吸水劣化による強度低下は真剣に考えるべき・・・フロロの場合は多少の劣化はするが、そこから長持ちするイメージ)の吸水劣化を考えると12lb程度の太さが理想だと考えられます。

これが

「ショックリーダーが先に切れてPE本線を保護する」基本形の式

PEライン強度 × 結束強度低下% = 本線強度期待値

本線強度期待値 > ショックリーダー強度
           (+20%程度の吸水劣化予防策を予め割増するのも可)


もし「オレの結束は限りなく100%に近い」という客観的データがあるならば、図のショックリーダーは14lbか、吸水劣化を考えて16lbでもいいかもしれません。

都市港湾型のスタイルで障害物やボトムを特に攻めるというようなことをしない限り、この方法で間違いありません。
端的にいえば、使うPEのサイズが多少上下したとしても大抵の人は16lb以下でOKということです。
えっ、そんなに細くていいの!?
と感じるかもしれませんが、リーダーは単純な引っ張り合いでは滅多に切れるものではありません。
ただし、このメソッドに「根掛かりしてもフックを曲げてルアーを生還させる」という哲学を求めるには難があります(フックを高確率で曲げて帰還させるには次の方法がより好ましいでしょう)。






しかし、ショックリーダーに求められている役割は「PEを保護し、先に切れる」ということだけではありません。

根が点在するようなボトムを攻める時、最深部で1m足らず平均60cmもないようなドシャローを攻める時、リーダーはPEを守ることよりまず先に、ルアーを守る必要性があります。
経験すればわかりますが、「ヤバイ」フィールドでバイブを通すと数投後にはリーダーは文字通り「ヤバイ」状態になります。
その「ヤバイフィールド」で「ヤバイ状態」のリーダーに大型がヒットするとどういうことになるか、これはもう火を見るよりも明らかです。強引にファイトすれば傷ついたリーダーが切れ、慎重にファイトすると根に巻かれて切られます。
また、サーフでも砂質によっては砂との接触でリーダーが傷つき痩せ細って切れやすくなります。

リーダーが傷ついてしまうことを前提に、傷ついた後の残存強度を求めてリーダーを太くする。

これが、このメソッドの哲学の一つです。

尤も、そんな場所での釣行を想定している場合は使っているPEも1号より太いケースが多いでしょうから

112a.jpg


こんな感じですかね。PEの強度はあくまでも「例え」です。

このようなケースでは、最低でもPEと同じかPEより強いリーダーを使います。
何故かと言うと、ショックリーダーのようなモノフィラメントラインは、太さがほぼスリ傷に対する耐性にイコールするからです。
12lbのモノフィラメントラインは大体3号ですが、ご存知の通り、3号ってかなり細いです。
16lbにしても4号、依然として細いです。リーダーが擦られていることを察知したアングラーがリアクションを取れる猶予を殆ど与えてくれません。
仮に完全に切られる前にリアクションできたとしても、擦って傷ついた結果、残存強度が6lb程度しかないラインでパワープレイを敢行したとしても、引きちぎられるであろうことは容易に予測できます。
ショックリーダーが傷ついていないなら、14~16lb程度の強度でも余裕でゴリ巻きパワープレイに出ることができますが、ショックリーダーが沈み根などのストラクチャーに擦り付けられるような可能性がある場所では、最低でも5号20lbのリーダーではないと、傷を入れられた後の強引なリカバリーアクションができません。
これが本線PEと同じかそれよりやや強いリーダーを使うケースです。

※注
但し、牡蠣殻や極端に鋭い岩のようなストラクチャーには、ショックリーダーの太さによる効用はありません。
あくまで、岩肌なんかに擦られて、「ブイッ・・・ブブブイッ」という振動が手に伝わった瞬間に強引な引き剥がしアクションを開始できることが前提です。




でも、これ、根掛かりした場合はPEが切れてしまうのでは?と不安を持つかもしれませんが、PEが大型化して強度が増しているので大体こうなります

113a.jpg


端的にいえば、フックを曲げて回収することを期待とし、次に結束部分で切れることを前提とします。
もしフックが曲がらず結束部分も切れないようでも、ショックリーダーを擦り付けるようにして大きく動かくすと、鋭い障害物が糸ノコのように切ってくれる可能性が意外とあります。
尚、根掛かりの問題に関しては下記サイトの一文が秀逸なので、是非ご一読でください。
http://www16.plala.or.jp/rikisuke104/sub-kotsu%206-1.html
以下引用:

(※1)(番外編:根掛かりの外し方)
 「ラインシステムを組んでいる」事を前提として、ルアーが根掛かったときの外し方を説明します。
 もしルアーが根掛かったなと感じたら、まずテンションを緩めて下さい。次にロッドの竿先を上げて、ルアーにテンションが掛かるか掛からないかの状態で細かくシェイキングして下さい。殆どの場合はこれで外れる筈です。間違っても、いきなりロッドを強く煽ったりしはないで下さい。状況が更に悪化します。
 もしシェイキングでも外れなかった場合。まず手袋をしてから、竿先から出ている部分のラインを手に巻きつけ、ゆっくり(じわっと)引きます(くれぐれも「ギュッ」と引っ張ってはいけません)。これで殆どの場合フックが伸びてルアーが回収できます。
 ここでの注意点①、竿ごと引っ張ってはいけません。たとえラインとロッドを平行にしたとても、テンションの掛かったラインにガイドがちょっとふれると簡単に切れてしまいます。
 注意点②、絶対に素手でラインを引っ張らないで下さい。テンションの掛かったラインは刃物です。手から血が出ます


このラインシステムのキモは、実はスナップ結束部分にあります。

仮にPE22lb・結束70%・リーダー22lbとした場合、結束部分で切れるのは15.4lb以上の負荷が掛かった時です。
それくらいの力をゆっくり掛けた場合、大抵はフックが曲がって切れる前に回収できますが、複数のフックが引っ掛かっていれば結束部分どころかPE自体が切れてしまう可能性もあり、危険です。
大抵のスナップの破断強度は、初期段階でもPEやショックリーダーの比ではないくらい強いので、開閉で劣化していたとしてもスナップの破断は期待できません。
ところが・・・スナップとショックリーダーの結束強度は予めコントロールできます。
結束強度100%に近いダブルクリンチを始めとした「強い」ノットではなく、ワザと「切れやすい」ノットを身に付けると良いでしょう。

魚には絶対切れない、しかし根掛かりしたときPE・ノット・リーダーよりスナップ結束が先に切れる。

という絶妙な強度を具現化しないといけませんが、中級者ならば覚える価値はあります。

このシステムはどちらかというとラインシステムというものへの理解度が深く、ノットの熟練度が高まり強度が安定してきた中級者向けかもしれませんが、初心者でも知っておいて損はないと思います。

かくいう自分はまだ確実にはスナップへの結束が切れるようにシステムを完璧には作れていませんが、まあまあの確率でスナップ部分が切れるシステムを作れるようにはなっており、徐々に理想に近づいています。






最後に、PE1.5号に30lb以上のリーダー、あるいはPE2号に40lb以上のリーダーという具合に、圧倒的にリーダーを強くしたラインシステムが存在します。
これは単純に、前項の「強引にファイトして主導権を取る」というスタイルの延長線上です。
磯のヒラスズキ等で、根に走られてもラインを擦られてキズが入っても強引にリカバリーする、それが毎回のように起きるという前提の釣りをするときに使います。
初心者が果たしてそのようなスタイルの釣りをするかどうかといえば、99%しません。
ですので「そういう考えがあるのか」と、頭の隅に入れておけば良いでしょう。








最後に「フィッシングノット最強攻略」という雑誌からの引用です。

KIMG4442.jpg

ラインシステムとは、このようにフィールド条件を考慮した上で、魚との「バランス」が大切です。

自分の経験からすると、ショックリーダーが多少太くても釣果には影響しません。

見え魚を狙ったサイトフィッシングをしたことがある人なら常識ですが、太かろうが、細かろうが、魚はラインが見えています。ナイロンよりフロロのほうが光の屈折の関係で見えづらいという話ですが、仮にそうだとしてもあまり意味を持たないのではないでしょうか。
そんなことを気にするなら、ルアーにぶら下がっているフックの存在がおかしいはずで、釣りたければフックレスのルアーを使うべきですよね?(笑)
しかし現実には巨大なトレブルフックを2つも3つもぶら下げて走っているルアーは喰われます。
パラドックスな訳です。
つまり、魚は普段、「フックはフック・ラインはライン」として「個別」には認識できますが、魚の脳の処理能力というのはルアーを主目的として認識したら、フックやラインは同時並行的には殆ど処理できないのではと思います。

しかし結局は、太すぎること、目立ちすぎることには、やはりデメリットがあります。
細すぎること、弱すぎることもまた、しかり。
タックルバランスを整えるということは、中々奥が深いですね。

初心者向けには「◯◯は△lbあればいい」「XX狙いならリーダーは◯号」と表記するのが簡単で理解されやすいですが、そのステージより一歩先に進むならば、狙うサイズとフィールドの関係を吟味したうえで、手にしているロッドから魚に突き刺さるフックまでトータルで考えましょう。



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