トルクってなあ~に? - 初心者のためのシーバスロッド

トルクってなあ~に?

 06,2015 00:11


トルク(英語: torque)は力学において、

ある固定された回転軸を中心にはたらく、回転軸のまわりの力のモーメントである。

一般的には「ねじりの強さ」として表される。 力矩、ねじりモーメントとも言う。


wikipediaより




この定義を金科玉条的に運用するならば、ロッドに「トルク」という言葉を使うのは不適当となります。

ロッドにはクランクシャフトが備わっていませんから当然回転しません。


いや、いいですよ。


今の時代、「トルクがある・トルクフルである」という言葉は、車やバイクの閉ざされた世界から解放されて、「力持ちである」という一般的な形容詞になっていますからね。


でもトルクという言葉は「最高速度」に関連する事象には使われません。


小難しい自動車用語の定義から離れていたとしても尚、「トルクがあるから速い」なんてことには使われないのです。

我々一般人が使う「トルク」とは・・・・・・例えば・・・・・





「坂道を停止状態あるいは低速状態から登り切る」



とか


「重い物を牽引して非力を感じない」




とかじゃないですか?

助走なく、急な坂を難なく登りきれると「トルクがある」と形容します。

重い荷をコンスタントに引っ張れると「トルクがある」と形容します。

ようするに、慣性が働いていなくとも力持ちのことです。

いまはどうかしりませんが、昔、ゲームセンターにはパンチ力測定のマシーンがよくありました。
100円いれると的がニョキッと持ち上がってくるので、3発殴ってパンチ力を測ろうというゲームです。

仮に同じ100kgのパンチ力が出せたとしても、50kgのフライ級のモヤシマンが見苦しく助走をつけて突撃したテレフォンパンチ(というかタックルの作用点としてコブシがあるだけ)と、80kgのクルーザー級のスポーツマンがほぼ密着状態からだしたパンチとでは、どっちが有用性に富むかは一目瞭然です。


一般的には「トルクがある」とはそうことを指す形容詞です。



これをロッドに置き換えてみましょう。











「トルクがあるロッドです」



あるいはもっと具体的に



「トルクがあるバットなので◯◯cmサイズのシーバスでも余裕を持って寄せることができました」






これ、かなり意味不明じゃないですか?

何故かと言うと、魚と対峙してるロッドは常に静止しているので慣性が加わった「ピークパワー」がないからです。

常に慣性がないならば「トルクがあるかないか」ではなく「パワーがあるかないか」の表現が適切でしょう。







いや、言わんとすることはわかります。

結論といいますか、「ロッドにトルクが云々」という表現の方法が一般的に何を指しているのか、代弁しましょう。







その復元力の発現に際し



一気に力が噴出するバネのような反発力の性質を隠して

万力でゆっくり確実に締め上げるような力の加わり方を

「トルクがある」としているようです




目を瞑り、イメージしてください。


80cm4kgという大きな魚を掛けました。

魚が走ります。

ロッドがバットから曲がります。

ロッドはバネです。

曲がれば曲がるほど力が蓄えられ、元の形状に戻ろうとします。


一般的に「トルクがある」と表現されるロッドは


一気に弾力的なバネの力が解き放たれるのではなく、

歯車がゆっくり回ってウインチのような機械的な力で魚を引っ張ってくるような感触を指します。



 





確信はありませんが、自信はあります。この表現方法。



ようするに、蓄えられたバネの解放のような一瞬の力の発動に対して、徐々にステディに発動する復元力を「トルクがある」と表現しているのでしょう。

何故この性質が賞賛され、尊ばれるかというと、バラシにくい力の加わり方であるだろうと容易に連想させられるからです。

















そして残念なことに、ただ単に「復元力が強い」ことを指して「トルクがある」と称する「トルク詐称」が流行っているのが現状です。




何故なら「トルク」という言葉と使っている文章の書き手が「パワー」と「トルク」の区別が出来ていないからです(もしかしたら意図的に区別していないのかもしれませんが・・・その場合は悪意を感じます)。

我々読み手サイド(消費者)も、なんとなく、「トルクがある」と書かれたらその意味を問わずに受け入れてしまったのも、この流れを増長させた原因であるかもしれません。



あたりまえですが、「復元力が強い」シーバスロッドということは、簡単です。

バットが肉厚で太ければ復元力が強いに決まってるじゃないですか(苦笑)

MHとかHのパワーのロッドで、バットが適度に曲がるロッドならば、かならず復元力が強いはずです。

しかし、それをもってトルクがあるとは必ずしもいえません。



パワーとトルクは似て異なるものです。




力は強い、しかも粘りあるようにゆっくり均一に発動する、という性質を、現在主流の高弾性カーボンで実現しようとすると・・・・バットの長さ、太さ、ブランクの厚み、テーパー設定、ガイド設定、etc. etc. ・・・・クリアせねばならない課題はハンパないですよね。難しいと思います。



実は、真に「トルクがある」とは非常に稀な性質であると。

本当は、敢えて低~中弾性素材を(部分的にも)取り入れたロッドにしか使えない形容であると。
高弾性には不可能である・・・とまではいいませんが、瞬間的な反発力を産む高弾性素材を使って「トルク」のような逆の性質を引き出しているロッドはほぼハイエンドクラスのみです。

トルクトルクとうるさい表現がエントリーモデル・・・具体的には実売2万円前後のロッド・・・に使われていたとしたら眉に唾をつけて読んでみましょうと。
その意味はきっと「パワーの多寡」であって、「トルクの有無」ではないはずです。





これは自戒・自虐でもあります。




「トルクがある」


この言葉は何にでも使える魔法の言葉です。

ロッドのインプレをしてみたければ、「トルクがあって~」とでも書いておけば一応サマになってますし、何か間違ったと指摘される恐れも殆どないですし、「とりあえず、まあ、トルク」みたいな(苦笑)

故に、使う側も読む側も、気をつけねばならぬ言葉です。
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Comment 4

2015.01.06
Tue
00:55

ぺろり #-

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ぼらおさんこんばんは。

突然ですが、僕は元バイク小僧です。
トルク云々、理解できなさ過ぎて聖書の如き高貴なルアー雑誌を読んでも完全スルーしていました。
この記事で釣竿におけるトルクが何たるかを、何となく理解できた気がします(笑)

ああ。カブに乗りたい

編集 | 返信 | 
2015.01.06
Tue
12:19

初老のうりぼう #-

URL

ぼらおさん はじめまして

こちらのブログで大変勉強させていただいているシーバス初心者です。
シーバスフィッシングをここまで論理的にしかもわかりやすく分析している記事は他に見られないと思っております。


”一気に力が噴出するバネのような反発力の性質を隠して

万力でゆっくり確実に締め上げるような力の加わり方を

「トルクがある」としているようです”


何回も読んでやっと理解できました(笑)。
本来トルクって回転を与えるための”一瞬の力”であってその継続に関しては”パワー”ということだと思うのです。なのでリールはともかく竿を表現する言葉としては不適格だと言わざるおえません。それをここまで噛み砕いて解説(しかも言い当てていると思います)できるところにぼらおさんの脅威的洞察力を感じます。

”そして残念なことに、ただ単に「復元力が強い」ことを指して「トルクがある」と称する「トルク詐称」が流行っているのが現状です。”

なるほど、こう解釈すればトルクという言葉がなぜ竿の評価に使われるようになったかわかる気がします。

ただおもしろいことに、トルク、タメ、パワー・・・もはや定義がぐっちゃぐっちゃな竿評価がはびこってはおりますが、なんとなく評価者の気持ちは伝わってきますよね(笑)。世の中の大半の事象はこの”なんとなく”で動いていているのだと思います(当然私もです)。それはそれでいいとは思いますが、そこに敢えて”マッタ”をかけて無慈悲に”バッサリ”切り込んでいくぼらおさんの文章は非常にサディスティックで恍惚感溢れております(笑)

いきなりのコメント失礼しました。
今後もこちらで勉強させていただきます。

編集 | 返信 | 
2015.01.07
Wed
17:15

わか #-

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 以前からトルクという表現に違和感もっていました。トルクについては、雑誌やネット上でも魚の「トルクフルな引き」という表現もよくありますね。さらに不可解なのは、大河川における「トルクフルな流れ」・・・・(あまりに違和がありすぎて衝撃でした 笑)「トルク」はつかっておけばサマになって、雑誌の取材記事でも欠かせぬ表現のようです。

編集 | 返信 | 
2015.01.07
Wed
18:59

ぼらお #-

URL

コメントありがとうございます

後日、この記事を補則するパート2を公開する予定です。



正月明けたら、忙しくなっちゃった・・・・

頂いたコメントは時間ができ次第、返答して行きます。

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