ルアーの値段 - タックルあれこれ

ルアーの値段

 28,2015 00:06
> ロウディー 130F 一時的なものなんですよね 結局
> 実際これじゃなくてヒラスズキは十分釣れますし、第一に高いのでルア-破損率
> が高いヒラ釣りでこんなの使えないです(^。^)y-.。o○
> それに引き換え昔のduelはよかったですね- 何よりルア-が安くて
> ヒラ向きのルア-(テスタ-がt﨑氏のおかげ)が多くて、 
> 今でもdb125とかSb125(廃盤(´;ω;`))現役ですからね
> 今はだいぶ価格も上がってますが(T_T)


こういうコメントを頂きました。

ジャンプライズのルアー、高いですよね。

消耗品であるルアーは「高い」というだけで、そのポテンシャルが下がるものです。

ですが・・・

ジャンプライズの場合、半分は狙って「プレミアム路線」をやっているのかもしれませんが、この会社の高い価格設定は宿命的・構造的なもので、ジャンプライズ自身の取り分は「ボッタクリ」とは言えないかもしれません。

(お金を出すユーザー側からしたら高いというだけでその事情がどうであれ無関係なんですが・・・そこは、まあ、知的好奇心を満たすための読み物と捉えてください)





高いルアーメーカー




安いルアーメーカー
(最近の値上がりで「安いルアーメーカー」は消滅したので「普通のルアーメーカー」が適当か)

普通のルアーメーカー



の違い、どこにあるか知ってますか?



高い:ジャンプライズ・アピア・ブルーブルーなど
普通:アイマ・ダイワ・シマノ・デュエル・マリアなど



いや、その前に、ルアー1個のお金の配分、大体どういうものか知ってますか?










委託商品を知ろう


委託商品とは小売店に陳列されている商品のうち、商品の所有権は小売店側に存在しない商品のことを指します。
見方によっては、小売店は陳列棚を売り場として商品の所有者に貸し出し、売上に応じて手数料を取る方法とも捉えることができます。
小売店からすると、物の売上が確定するまで仕入れ費用が発生しないメリットがあります。
デメリットとしては、仕入れをしていない・・・在庫リスクを取っていない訳ですから売れた時の取り分は買い取り仕入れより低くなります。

商品の委託・受託は靴や衣服のような

「カラーとサイズを揃えようとすると、莫大な在庫を仕入れなければならないが、仕入れが全部売れる可能性は限りなく低い」

このような性質の商品によく使われるメソッドです。
ルアーもこの性質にピタリあてはまります。
店側が「これが釣れるカラーとサイズだよ」と特定少数だけを揃えていても、そのセンスが響かない客が必ずいるわけです。
レッドヘッドやチャートパールやイワシやコットンキャンディーのような売れ筋ばかりだと、「マットブラックがいい」とか「クリアクラッシュがいい」という客に「この店は品揃えが悪いね」という印象を抱かせる訳ですから、店も「これがいい」というような本命カラー以外にも、ある程度「見せ品」を揃えないといけないわけですね。
売れない商品は「動かない商品」として返されることになりますから、損なく物の回転率が上がります。

ということで、釣具屋に並んでいるルアーの殆どは、委託商品であることを覚えておきましょう。
破格の値引きがされているような「掘り出し物」は買い取り仕入れの可能性が大ですが、その割合は全体からみると微々たるものです。
我々一般客からすると、買い取り仕入れは「デッドストック」として店側が安く処分することがあるので歓迎なのですが・・・

釣具店で時折見かけるメーカーの営業サンは、自分が担当する店をまわりながら自社コーナーの売れ行き具合や陳列状況をチェックして「次はどうするか」を考えているわけですね。

取り分の割合


率直にいうと、釣具業界の一般的な掛率は知りません。

知りませんが、おおよそ50%から60%くらいではないかと勝手に推測します・・・年間の取引規模や過去の実績によって見直しされるものでしょうけれど・・・
つまり、商品の委託者であるメーカーもしくは問屋が「希望小売価格」の50%~60%を取り、受託者である店側は残りを取るということです。メーカー側からしたら、それ以上の利益が欲しければ買取仕入れをしてくださいね、ということでしょう。



例①
ぼらおミノー120F メーカー希望小売価格 2000円(税抜き)
メーカー:ぼらおルアーズ
小売店:ニコニコ釣具店
掛率:50%
取り分は・・・
ニコニコ釣具店:2000円の50%で1000円
ぼらおルアーズ:2000円の50%で1000円



・・・となるはずですが、例①は大切なことを忘れています。
店頭値引きを忘れているのです。
大抵のルアーは最低でも10%くらいはほぼオートマチックに値引きされているものです。
つまり、客が出すお金は1800円、この差額200円は誰が負担するかというと・・・当然、小売店です。
尚、なんらかのセールで値引率が20%~30%になる場合は店がメーカーに「協賛掛率」をお願いして値引きによる「ロス」を分担しているはずです。


例②
ぼらおミノー120F メーカー希望小売価格 2000円(税抜き)
メーカー:ぼらおルアーズ
小売店:ニコニコ釣具店
掛率:50%
取り分は・・・
ニコニコ釣具店:2000円の50%で1000円・・・
ただし、店頭値引きを自己負担して最終取分は800円
ぼらおルアーズ:2000円の50%で1000円



・・・ですが、この例②にも大事な要素が欠けています。
「問屋カラー」とか、聞いたことありませんか?
メーカーからすると、一括大口の確定購入というのは助かる話です。
一度売れば後腐れナシですからね。
その場合は、メーカーが自分の取り分の割合を下げるでしょう。
ルアーの原価率がどれくらいの物かわかりませんが、仮に10%だとすると、いかにバルク売りとはいってもニ掛程度だとワリにあわないでしょうから、最低でも25%~30%は取っていると思われます。
問屋も買取在庫を抱えるわけですから、メーカーと同じくらいの取り分がないと厳しいです。
となると当然ですが、小売店は問屋を通すとメーカーとの直接取引より旨味が減ります。


例③
ぼらおミノー120F メーカー希望小売価格 2000円(税抜き)
メーカー:ぼらおルアーズ
問屋:ポカリプス
小売店:ニコニコ釣具店

掛率:30:30:40
取り分は・・・
ニコニコ釣具店:2000円の40%で800円・・・
ただし、店頭値引きを自己負担して最終取分は600円
ポカリプス:2000円の30%で600円
ぼらおルアーズ:2000円の30%で600円


多分、こんなものでしょう。
率はあてずっぽうですが遠からず合っていると思います。
問屋はレンジバイブや裂波120やローリングベイトのような核戦争でも起きない限り売れ続けるような商品が大好きで、値崩れが流通の構造上起きないようになっています。特にレンジバイブはほぼ100%に近い割合で問屋が噛んでいると思われます。


ジャンプライズの場合


ジャンプライズの場合はエクリプス、つまりは釣具問屋であるツネミに全ルアーの流通を任せているようなので、上述のように値崩れが起きません。
そしてジャンプライズの場合、これら「メーカー・問屋・小売」の三者に加えて更に取り分を必要としている第四者が存在しているのです・・・

ジャンプライズは所謂「企画屋」なので、工場を持ちません。
工場を持つ真の意味での「メーカー」に発注する必要があります。
ジャンプライズの発注先はF-TECと耳に挟んだことがありますが、「蒸着メッキ」なる特定キーワードをF-TEC自身が自前のルアーナインナップに使用しているあたり、おそらく真実でしょう。
ここにジャンプライズのような工場を持たないルアーメーカーと、ロンジンのように規模は小さくても自分で作るルアーメーカーの違いがあります。


例④
ぼらおミノー120F メーカー希望小売価格 2000円(税抜き)

販売元:ぼらおルアーズ
製造元:ブヒテッック
問屋:ポカリプス
小売店:ニコニコ釣具店

掛率:30:30:30:40

ニコニコ釣具店:2000円の40%で800円・・店頭値引き一切なし
ポカリプス:2000円の30%で600円
ブヒテック:2000円の30%で600円
ぼらおルアーズ:2000円の30%で600円


・・・これだと客が商品に払った価格以上の取り分が必要になるわけですから、この例は破綻していますよね。
ということで、新しい希望小売価格が導入されます。
新しい希望小売価格は各社の取り分から逆算された価格なので、掛率はもう意味を成しません。


例⑤
ぼらおミノー120F メーカー希望小売価格 2400円(税抜き)

販売元:ぼらおルアーズ
製造元:ブヒテック
問屋:ポカリプス
小売店:ニコニコ釣具店

ニコニコ釣具店:700円
ポカリプス:600円
ブヒテック:500円
ぼらおルアーズ:600円


ジャンプライズのルアー1個あたりの分配は大体こういう感じだと思います。
ジャンプライズがルアーを自前で製造して、独力で流通させることができたら・・・・ジャンプライズも小売店も1個あたりの利益がもっと出るでしょうし、買うユーザーも値段が下がって嬉しいでしょう。
ですが、製造ラインを維持するのって、物を作ろうが作るまいが固定費が発生して大変なんですよね。流通網を独自で構築・維持・発展するには優秀な営業部隊が必要になりますし。
土地・建物・製造設備に人件費・・・多分、今のカタチが一番機動力があって健全なのかもしれません。
F-TEC等の真の意味でのルアーメーカーが喜んで他社の持ち込みルアー企画を形にするのは、それを作ることによって自分のところの固定費用を下げることになるからです。



他社の場合


シマノ・デュエル・マリアのような設計・テストは国内で、製造は海外の自社工場で、というタイプのメーカーは最近ルアーが高いですね。円安の影響が直撃したが故の傾向だと思いますが、国内回帰は多分ないでしょう。
よって、再び円高にならねばデュエルのような「良い物をリーズナブルな値段で」というイメージが定着しているメーカーは苦戦すると思います。
シマノはいつのまにかダサい・釣れないルアーメーカーとしてのブランドイメージからの脱却に成功していますが、これは多くのトップクラスのプロと契約してイメージアップを図ったからでしょう。値上がりの影響を上手いこと回避できていると思います。
尚、ダイワのルアーはどうやらジップベイツが国内で作っているので、あまり影響は出ていない模様。
因みにバスデイもジップベイツも同じ会社なので、ダイワ、ジップベイツ、バスデイは相対的にお得感が出るルアーになっています。
コメントを頂きましたが、マリアも全工程を国内の自社工場で生産しているとのことです・・・ご指摘ありがとうございました!
マリアは「釣りを科学する」的なインテリ風のイメージ戦略を始めましたが、これはデュエルとマリアに共通する「二流ブランド」イメージを卒業して「安さ」で客を釣る方法から「マリアだから買う」というブランドイメージを育てようとしているのでしょう。
シマノのようなプロによるイメージアップ戦略もなければ、マリアのような科学的な付加価値をブランドにタグ付けしようと試みる戦略もないデュエルはおそらく「安くないけどブランドイメージもない」ということで現在進行形で大苦戦していることでしょう。
アイマ・タックルハウス・ラッキークラフトジャパンはその製品ラインナップの一部を中国で作ったせいか(もしくは外殻等の主要パーツを中国で作って、組み立ては日本)、為替相場の変動とはまるで関係ない金型のパクりに苦しんでいるようです。

いずれにせよ、今後の流れとしてはジャンプライズのように「自分で作らないメーカー」が増えてくると思っています。
となると、ルアー1個には「製造元・販売元・卸問屋・小売」の4者の取り分が常に勘定されることになるので、「お手頃なシーバスルアー」の未来は暗いものだと思っています。
むしろ120mmの「ちゃんとしたメーカーのちゃんとしたルアー」1個が1200円程度だった数年前のほうがデフレ下の異常事態だったのかもしれません。





・・・ということで、高いルアーメーカーと普通のルアーメーカーとの違いは



①自社生産しているか



②自社流通網があるか

(メーカーと小売の直接取引が出来ているか)


にあります。
①でいえば、値段に販売元(つまりはパブリッシャー)とは別に製造元の取り分が上乗せされますし、②でいえば問屋の取り分が上乗せされます。
①と②の両方当てはまるメーカーのルアーが高くなるのは、ある意味で当然といえるでしょう(何度もいいますが、ユーザーには無関係のどうでもいい理由で高くなるので困ったものですが・・・)。
そういえば、ブルーブルーのルアーもアピアのルアーも見るからにF-TECっぽいですよね(苦笑)。







尚、自分が中華パクリルアーを買い、それを人に推奨さえするのは、製造業の国内回帰を願う国家百年の大計を想うところがあるわけでして、決して安さに目が眩んだのではありません(キリッ

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Comment 1

2015.11.06
Fri
11:36

ぼらお #-

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Re: No title

恐縮です・・・

とてもためになる内容のコメントありがとうございました!!!

お礼といっては何ですが、そのルアーを入手できそうなので頑張ってみます。

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