ロッドのブランクというものを真剣に考える② - 初心者のためのシーバスロッド

ロッドのブランクというものを真剣に考える②

 09,2016 07:57
動画鑑賞&説明がメイン。

はたして1本のカーボンロッドはどのようにして作られているものなのか



この動画ではオフショア用ロッド、かなりガチな感じがする1ピースロッドの製造過程を丁寧に解説してくれています。
英語が分からずともロッドビルディングが何たるかが200%理解できますので絶対に最後まで観ましょう。






1:00頃

WS000122.jpg

これがカーボンシート、「プリプレグ」と呼ばれる原材料です。
カーボンシートには編み込まれたものがありますが、ロッドのメインマテリアルにはUD(Uni-Direction)・・・つまりは並織のシートが使われます。

カーボンシートの「織り」についての解説は↓を参照
http://www.sankyo-ss.co.jp/about-cfrp/prpreg.html

編み込まれたシートは見栄えばいいのでバットの補強兼装飾として使われます。
ダイワでいうと3DXなんかですね。
http://www.daiwaweb.com/jp/fishing/column/technology/contents/1188511_4201.html
ぶっちゃけると、シーバスロッドではどうでもいい機能というか、まあ、ハッタリです。
ダイワはその構造の「編み」をカーンボンシートの前の段階から関わっているわけではありません。
2つの出来合いの編みのシートを重ねてメインのシートに巻いて補強しているだけ。
補強マテリアルに違いないので強化に役立つし、確かに「カーボン!」って感じがする外観なので見栄えはするでしょうけれど、「ダイワ独自のテクノロジーです」なんて言われても・・・・

このカーボンシートは既に炭素素材を接合する「レジン」を含んでいる状態でベタベタの「ナマ」の状態です。

あっ、わかった!
ダイワには低レジンテクノロジーがあるから、ダイワだけは特別なカーボンシートがあるんですよね!?


http://www.daiwaweb.com/jp/fishing/column/technology/contents/1188512_4201.html

なんかこう、ダイワには申し訳ないですが、ダイワがいちいち突っ込みどころ満載の解説ページを用意してくれてるので、「教材」として使わせてもらっているだけです・・・・一応ダイワのハイエンドを持っているダイワファンです・・・

ありません

大ダイワも大シマノも田舎の小ヤマガも小Gクラフトも、全部同じシートです(”全部同じ”といえば語弊がありますが、同じカーボンマテリアルの仕入れが可能なはずです)。

後で解説しますが、ダイワはこのレジンを「絞りだす」技術があると言っているだけで、低レジンのカーボンシートを作れるとは一言も言っていません。

動画の中ではシートを切り出して鉄芯=マンドレルに巻く寸前の状態に既に仕上げてますが、注意深く見ると、カーボンシートを何枚も重ねて使っていることがわかります。
巻く枚数やそれぞれの切り出された形などの要素一つ一つがロッドのテイストを作るので、本当は企業秘密のはずですが・・・
シマノのスパイラルXやダイワのX45なんかはこの段階で各カーボンシートの巻きの方向を変える技術のことを指します。小さいところではGクラフトがこの工程で「独自性」を出そうと頑張っているみたいですね。

ところでこのお兄さんの後ろに掛かっている長い紙は何かというと・・・

WS000123.jpg

ロッドのガイド位置やスレッド位置を記した「テンプレート」だそうです。
これを元に確認しながら作業するのだとか。



3:00頃

WS000124.jpg

お兄さんが「マンドレル」を手にし、先ほど切り出したシートを巻きつける作業の下準備にとりかかりました。
手順にそって緻密な位置取りをしないとテーパーがメチャクチャになります。
お兄さんが言うには(普段は冷蔵庫で一定の気温で保存されている)シートが外気温に曝されるとベトベトし始めるので、手早く作業をしないといけないそうです。

「マンドレル」こそがロッドメイキングのツボ、ロッドに形を与える物。
当然ロッドメーカーにはこれを作る能力はないので外注になります。
かなりの精度が要求されるブツ、しかも完全受注生産品なのでお安くはない模様。


4:00頃

WS000125.jpg

巻きつけ機にやってきました。
ブランクの中に空気が入ったり、虚ろな部位ができてしまわないよう、機械でしっかり巻きます

ダイワがいう「HVF」だの「SVF」だの、ご大層なネーミングを頂いた技術は
http://www.daiwaweb.com/jp/fishing/column/technology/contents/1188512_4201.html" target="_blank" title="http://www.daiwaweb.com/jp/fishing/column/technology/contents/1188512_4201.html">http://www.daiwaweb.com/jp/fishing/column/technology/contents/1188512_4201.html
この工程で東レ様から頂いたシートに含有するレジンを絞りだす技術というだけでした・・・
文面を読み取ると「マンドレルに機械で巻く際に熱を加えながら通常より強い圧力をかけ、滲み出てきたレジンを拭き取る工程を自主開発した」ということでしょう。
このダイワテクノロジーを書いたヤツはかなり手練のライターです。
ダイワのニッチな技術を最先端テクノロジーであるかのように読者を誤認させるミスリーディング技術。
ダイワから貰った資料から苦心しながら抽出したであろう殺しフレーズの数々。
しかしそこにウソは一切挟まない矜持が見て取れます。
ぼくは高く評価しますとも。ええ。


”そこでDAIWAは、自ら「カーボンシート」の研究をスタート。1990年頃のことである。”

”ちなみに『Z−SVF』の「カーボンテクノロジー」は、人工衛星レベルのカーボン素材なのだとか。レーシングカーとか飛行機とかに使用するレベルのカーボンではない。宇宙開発で使用されるレベルの強さと軽さをもつカーボンなのだ。”



物はいいようというけれど・・・






ダイワ「東レさん、みてくださいぼくたちのレジンを絞りだす技術を!カーボン密度を飛躍的に上げました」

東レ「そ、そう・・・よかったね・・・」
(それくらいレジンが入ったシートじゃねないとお前たちの技術じゃ加工できないだろ)


ダイワ「これってNASAレベルのカーボンですよね?ねっ?ねっ?」

東レ「う、うん、これは宇宙レベルのカーボンだなあ(ドン引き・棒読み」
(宇宙用には元々レジンの含有量が少ない素材を渡してるんですけど)



ダイワ「ダイワのカーボンは宇宙開発で使用されるレベルの強さと軽さをもつカーボンなのだ(ドヤァ」





4:27

WS000127.jpg

お姉さんに動きがっ!!
別のシートを持ってきました。
どうやら別のシートを更に巻くようです。
シーバスロッドの場合、メインのシートにサブのシートを重ねる二重巻きが主流らしいです。
同じ弾性のシートを重ね、「統一弾性マテリアル」のロッドに仕上げることもあれば、
異なる弾性のシートを重ね、「複合弾性(コンポジット)マテリアル」のロッドに仕上げることもあります。
動画のロッドの場合、シーバスよりもっと大物を対象としたロッドなので、おそらくメインのシートとは違う弾性のシートではなかろうとかと推測できます(青物などよりパワーがある魚を対象としたロッドは複合弾性を使用するのが主流らしい)
複合弾性素材を投入するのは前述のダイワの3DXのようにブランクのパワーを上げるための補強目的もありますし、統一弾性マテリアルで表現できないテイストを出すためでもあります。。
なんでも、メインマテリアルとは違う弾性の素材を使うことによってブランクの性質がガラリと変わるとか。
因みに「テーパーアンドシェイプ」のデザイナー・島津サンはティップからバットまで同じマテリアルで作るロッドこそがもっとも素直なベンディングを見せるはず・・・・という信念があるようで、ブランクの味はブランクの厚みとテーパーで作る(別弾性の素材には頼らない)!・・・と、そこのところに強い拘りがあるそうです。
メインマテリアルとは別のマテリアルを投入すること・・・このノウハウも各ロッドメーカーの秘伝中の秘伝であって、「個性」でもあります・・・例えばシマノのハイパワーXなんかはネジレを抑制する「補強」の技術ですが、広義では「複合弾性素材」の技術でもあります(余談ですが、おそらくハイパワーXの一番の目的はブランクの装飾です・・・マジで・・・シマノのロッドテクノロジーの本丸はスパイラルXであって、ハイパワーXではありません)。
Gクラフトもやたらと「困難を極めた複合素材の設定」を強調するメーカーの一つですね。

ここではひとまず

複合弾性素材を使う=青物とかのパワー系ロッド
複合弾性素材を使わない=ライトゲーム系ロッド
どっちもアリ=シーバスロッド

くらいに覚えておきましょう

さて、今回はここまで・・・③に続きます

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Comment 2

2016.01.09
Sat
08:49

ルーミス #-

URL

本当にぼらおさんは文章力が長けていらっしゃいますね。
私も以前、某閉鎖的SNSにロッド(ブランク)の事を書き綴った事が在りますが、ここまで解りやすく説明することは出来ませんでした…
③辺りでは、マンドレルの種類辺りの説明でしょうか?
楽しみにしてます!

編集 | 返信 | 
2016.01.09
Sat
13:18

ぼらお #-

URL

Re: タイトルなし

> 本当にぼらおさんは文章力が長けていらっしゃいますね。
> 私も以前、某閉鎖的SNSにロッド(ブランク)の事を書き綴った事が在りますが、ここまで解りやすく説明することは出来ませんでした…
> ③辺りでは、マンドレルの種類辺りの説明でしょうか?
> 楽しみにしてます!

そのお名前から察するに、ひょっとして某フライロッドの関係者の方ですか?
もしそうでしたら、本職の方に笑われるようなことを書いているかもしれないので、気がついた点があればご指摘のほどをおねがいします・・・・
もしそうでなくても、お手柔らかにお願いします・・・

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