ロッドのブランクというものを真剣に考える③ - 初心者のためのシーバスロッド

ロッドのブランクというものを真剣に考える③

 10,2016 09:11
動画の解説が途中までだったのでその続きから。


この動画とか他の海外動画みていて気がついたんですが、向こうではSiCはガイドリングの素材としては非主流でハードロイやアルコナイトが主流なんですね。
関連動画を掘っていったらダイワUKのスコットランド工場なる動画が出てきて
エッ?ダイワUKが存在するとは知ってるけど、スコットランドでもロッド作ってるの?
なんてオドロキのまま動画をみていると・・・「ダイワポール」なるアイテムの製造シーンでした・・・なにこれ?
走り高跳びのポール?

・・・・なんと16m(←ホントです16メートル)のロッド・・・・正確にはガイドがついていない竿なのでロッドとは言わずに「ポール」というようですが・・・を現地生産しているようです。
イギリスの湖沼での釣りメソッドの一つのようですが、鮎釣りの技術を転用したのかも。



訛りが面白くて動画を見ていると・・・これは勉強になりました。



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基本、黒色が濃いシートが低レジン高カーボンのお高いカーボンシート、黒色が薄いほうが高レジン低カーボンのお安いカーボンシートだそうです。

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これがレジン圧搾機(?)らしい。
仕入れたカーボンシートを一度この機械に通してレジンを絞り出してからカッティングの工程に回すそうです。

ということで、前回の記事における

「マンドレルに機械で巻く際に熱を加えながら通常より強い圧力をかけ、滲み出てきたレジンを拭き取る工程を自主開発した」

は次のように訂正してください。

「カーボンシートをカットする前に、カーボンシートに熱を加えながら圧力をかけ、滲み出てきたレジンを拭き取る工程を自主開発した」




ダイワがいう「宇宙レベルのカーボン技術」とはこのうどん製麺機のような機械を指します。







さて、以前の動画に戻ります。

5:30頃

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マンドレルに巻き終えたカーボンシートにテープを巻きます。
何故テープを巻くかと言うと、カーボンシートはこのままでは熱を加えられると液状化し、ロウソクのように溶け出してしまうからです。
マンドレルが内側の容器だとしたら、テープは外側の容器。
漏れがないようにしっかりみっちりと巻ます。
シーバスロッドによく見受けられるブランクの横縞模様はこのテープの跡ということになりますね。
横縞模様がないロッドは研磨(サンド)しているか、研磨に加えて塗装を施しているか・・・つまりブランクの横縞模様と凸凹は無研磨・無塗装の印です。
たま耳にすることがある「アンサンドフィニッシュ」なる不思議な言葉はun-sand(ed) finishという意。

お兄さんが自社製造ラインを持つ意義を雄弁に語っていますがそこは省略


7:25頃

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ようやく「窯」が出てきました。
巨大な電子レンジみたい。
因みに英語では窯のことをオーブン、焼くことをベーキングと言い、まるでパイやお菓子を作るみたな響きですが、正にその通りで原始的な設備です。


窯に入れて焼くこと(この場合)4時間・・・レジンが溶けて複数のシートから構成されたブランクの原型は完全に融合し、1本のロッドになりました。

散々ダイワをdisって来ましたが、全部撤回します。
おそらくシートの段階でレジンを絞るのは何処のロッドメーカーでもやろうと思えば出来る(はず)。
問題はレンジを極限まで減らして果たして綺麗に結合して焼きあがるのかどうかということ。
おそらくNOなんじゃないかと思います。
レンジを減らすと同時に焼き方もそれに合わせないと難しい・・・この辺は料理が好きな人ならば分かるはず。
味には関係ないが料理のカタチを形成するのに必要なツナギ材を入れなかったとしたらどうなるか。
時間や温度などの焼き加減は一からオリジナルで研究するしかない。
ひたすらトライアンドエラーを繰り返すしかないでしょうね。
ごめんなさい・・・ダイワがこういうハッタリ特設ページをわざわざつくっているから、例としてあげやすかっただけなんです・・・
http://www.daiwaweb.com/jp/fishing/column/technology/index.html

ダイワだけではなくシマノも「マッスルカーボン」「マッスルループ」とかやたら厨臭くてホモ臭いハッタリかましています。
最近でいえばヤマガやメジャークラフトやダイワがやたら「ナノ」を連呼しているのも、大体どういう流れでそうなっているのか察してもらえると思います。


「宇宙レベルのテクノロジー」なんてハッタリかますより、その地道な作業を説明したほうがウケがいいしカッコイイと思います。

8:40

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焼き上がったブランクをマンドレルから外し、テープを剥く作業に入ります。

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この工程のあと、仕様がそうであるならば研磨や塗装に入るロッドもありますが、動画のロッドは無研磨・無塗装仕様の模様。
これがブランクのみの供給品ならば次に検品、合格ならもう出荷です。


9:10過ぎ

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何をしているかというと、ロッドを捻りながら(ロッドのベンディングチェックをするために曲げているわけではない)ながらガイドの取り付けサイドを探しています。
ブランクは円柱の形状をしているので360度、どの向きにでもガイドを取り付けてもいい・・・訳ではないらしく・・・ロッドをネジると必ず特定の一方向に復元していくので、それを見つけだしてガイドを取り付ける向きを決めるのだとか。


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熟練者の手がなくてもこの「捻挫マシーン」があれば誰でもチェックできる(笑)
ロッドを回転させながら捻っても常にロッドは一定の向きに復元しようとする。
ベイト用ロッドならその曲がりの上にガイドを、スピニング用ロッドならその曲がりの下にガイドを。
・・・こういう具合に、ロッドには「横ネジレにもっともニュートラルな特定の向き」が存在するらしい。




10:40

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ガイドをスレッドで固定します。
ガイドリングに注目・・・よくみえませんが、SiCでないことは確か。
ハードロイかアルコナイトっぽいです。

雑なガイドの固定はすぐに結果に現れるからな!
とまたしても熱弁を振る舞うお兄さん。
作業されているロッドは窯で焼いたロッドとは別のロッド、ただ単にカメラを回して動画を撮影している時に作業中だったロッドでしょう。

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エポキシでスレッドを接着・・・この辺から近所の釣具屋さんでもみることがある光景ですね。
エポキシは3~4回塗るのを繰り返すそうで、乾燥工程に相当時間が掛かります。

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「どんくらいで仕上がるの?」なんて安易に聞かないでくれ、1本1本それぞれの具合によって違うに決まってんダロ!
・・・だそうです。






前回から見てきたようにカーボン素材の選定から始まって、カーボンシートの独自加工の有無、マンドレルの形状、マンドレルへのシートの巻き方(厚み・素材・向き)、テーパーの設計、補強の有無、窯焼きのあれこれ、研磨・塗装の有無、ガイド設定、そしてそれらに携わる人のスキルの高低・・・同じ東レのシートを仕入れて同じスタートを切ったとしても、いろんなところで差がでるわけです。


そういえば、いままでずっと「同じカーボンシート」を前提に話を進めていましたが、カーボンシートには「低弾性」「中弾性」「高弾性」といろいろあるわけで、その性質の選び方もメーカーによって当然違います。この話が一度もありませんでしたので次回にて。
あ、あとは「継」の話も・・・いや、あれも、これも・・・




次回は「弾性と継とガイド設定と自社窯持ちと非自社窯持ちメーカーの差」

纏まりきれなかったら、次の次で・・・
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Comment 4

2016.01.10
Sun
14:51

ルーミス #-

URL

なんだか私が催促したみたいになってしまい、申し訳ありません。

いや非常に良く調べて、且つ解りやすく説明されてる文章でした。

これからも楽しみに拝見させて頂きますね!

編集 | 返信 | 
2016.01.10
Sun
22:59

MOSS77 #OPDI7Ulg

URL

No title

僕の理解力では20%程度しか理解できませんでしたが、面白い記事でした!
あほなんで、カーボンの事もよく理解せず、G-CRAFTのリミテッドというあほしか買わないロッドを使ってますが、素材的になにが良いかはさっぱりです(^^;
ぼらおさんレベルなら、ラインのOEMなんかもご存知ですかね?

編集 | 返信 | 
2016.01.13
Wed
19:29

ぼらお #-

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Re: タイトルなし

> なんだか私が催促したみたいになってしまい、申し訳ありません。
>
> いや非常に良く調べて、且つ解りやすく説明されてる文章でした。
>
> これからも楽しみに拝見させて頂きますね!


頑張ります

編集 | 返信 | 
2016.01.13
Wed
19:46

ぼらお #-

URL

Re: No title

> 僕の理解力では20%程度しか理解できませんでしたが、面白い記事でした!
> あほなんで、カーボンの事もよく理解せず、G-CRAFTのリミテッドというあほしか買わないロッドを使ってますが、素材的になにが良いかはさっぱりです(^^;
> ぼらおさんレベルなら、ラインのOEMなんかもご存知ですかね?

これまた無茶をおっしゃる・・・w
ロッドの話はWEB上に結構転がっていて、複数のソースを読み比べて精度の高い情報が自然と見つけられるものなんですが、PEラインの話は殆どありませんね。
ロッドより個性が見えにくい商品なので、アナログな使用体感で「あ、これのOEM元は○○だな」なんてことも出来ませぬw

・・・時間があれば、頑張ります

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