中華スプリットリングから見える国産工業製品の行方 - タックルあれこれ

中華スプリットリングから見える国産工業製品の行方

 12,2016 11:16
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ローリングベイトにレンジバイブに裂波にコモモにGUN吉・・・


中華パクリ産業に流出してしまったルアーの共通点はズバリ、金型がバスデイの子会社にあったこと。
(アイマはバスデイに製造を委託)


「中国の工場で外殻を製造し、日本でルアーを組立てよう」とした計画は金型の模倣というもっとも悲惨な結末で終わった。











ところが、重心移動ユニットが内蔵されるルアーの模倣は難しいようで


「何故このパーツはこのような性質を備えなければならないのか」


というように構成部品の意味を理解できていないので(そりゃそうだ・・・中華パクリ工場の人は一回もシーバス釣りなんてしたことないだろうし、流れに乗せた時の泳ぎだしとか、汽水域での浮力の変化など理解できるわけがない)、特にウェイトの増減に繊細なコモモのクオリティーは目を覆いたくなるものらしいです。

自分も「評判の良い中華パクリ裂波」を数個仕入れてみましたが、コモモよりチューンに寛容な裂波でさえ、中の重心ベアリングが重すぎて劣悪な中華フックと中華スプリットリングを交換するとシンキング・・・つまり中華烈風にジョブチェンジしてしまいした(笑)

因みに、飛行姿勢も飛距離も本家ほど良くないですが、実用的なキャスタビリティーを備えてますし、アクションも(シンキングだけれども)十分納得のいくものです。
いつかインプレしたいと思いますw





一方で、固定重心のルアーはコピー品の最大の問題である


「何故このパーツはこのような性質を備えなければならないのか」


という技術の根幹をさほど理解せずともよいので、とりあえずコピー元を真似てみるだけである程度のクオリティーを再現できるようです。

当然、シンキングルアーは「浮力」「泳ぎだし」というナーバスな問題点が無いのでさらに簡単になります。

パクリローリングベイトも仕入れてみましたが、そのクオリティー(フック・リングを除く)にビックリしました。

小さな鉄球の有無で大きく変わるんですねぇ・・・面白い。



PAK160219210I9A0261_TP_V.jpg



さて・・・ここまで書き進めたところで、彼ら中華パクリ業者についてわかることがあります。


彼らは「模倣」は出来るのですが、細部の仕様が「何故そうなっているのか」が理解できていないのです。


話はすこし変わりますが、第二次世界大戦中にソ連領土に不時着したB29を元にして、Tu-4という完全なるB29のコピー爆撃機をソ連は開発するのですが、試作機の段階において「完全に模倣するために対空砲火で受けた弾痕まで再現した」という、ウソだかホントだかわからない有名な逸話が存在します。


要するに、コピーする側は部品一つ一つの意味を理解できないので真似るしかないわけです。


飛行機は実際に飛ばすので、やがて模倣した部品に関して

「これは基準を満たしていない品質だから飛行機の性能がフルに発揮できていない」

「これは完全にコピーできているが、わが軍には不要なモノだ」

「計算によるとこのパーツの寿命は○○○時間でいいから、もっとコストを削減しろ」


みたいな、模倣をベースにした独自技術の発展がありえるわけですね。



でも、ルアーに関しては中国では実釣によるテストもなければフィードバックもなく、そもそもその品がどういう評価を下されているかも知りません。
内部の重心移動ユニットのバランスはおろか、フックやスプリットリングのような単純なパーツの機能性・・・日本市場で求められる品質について知りようがないわけです。


「中国にはスポーツフィッシングの文化もマーケットもなく、独自の発展のしようがない」


ということですね。



DSCN1141.jpg



中央の4つが中華ルアーに付いていたスプリットリング

少し右奥にある2つのスプリットリングが日本製

中華フックはあまりにもお粗末だったので開封してから2秒で脱着・廃棄しましたが、スプリットリングは形がサマになっているように見えなくもない・・・・平打ち処理もしているし。





が、これがとんだ食わせ物で・・・・平打ち処理の意味が分かっていないんですよね。







強度を上げるために処理をしているのではなく






「日本のルアーについているスプリットリングはこういう形状をしているから」






という理由のみで「平打ち処理っぽい何か」が施されているわけです(苦笑)

あ、強度ですが、このリングはサイズ的には#2ですが多分デュエルやマリアの平打ち加工スプリットリングの#1(最小サイズ)より遥かに劣るものと思われます。


スプリットリングのような単純金属部品を作っているような中華工場も馬鹿じゃなく、「需要があり、必要性があり、多少の技術指導があるなら」という前提があれば、スプリットリングに実用強度を付けることは出来ると思います。

・・・が、

スプリットリングごときの品質を上げるためにあらたな投資をする・・・リスクとリターンを秤にかけてみたらとてもじゃないけれど、益を見出だせないのではないでしょうか。
粗悪で格安な品質を大量に捌く現状がビジネスモデルとしては(彼らにとって)正解なんでしょう。


フックも同じです。


古来から刃物は世界各地で作られていますが、いわゆる「名産地」、世界的なブランド力を持つ刃物の産地は限られています。

ナイフや包丁を作るのは簡単だけれども、真に切れ味のよい刃物はその価値を理解するマーケットがあって存在するものです。


PAK85_kirikotosupana20141028182225_TP_V.jpg



なんか、こう、さも日本のモノづくりはまだ可能性があるぞ、みたいな方向性に(珍しく)持ってきたところで申し訳ないのですが・・・




とある、上述のパクリルアーとは別の中華パクリルアーを仕入れてみて、早速細部をチェックしてみたところ・・・









そのフックとスプリットリングの品質に唖然となりました









良い・・・


酷すぎて唖然となったのではなく


その品質が良すぎる・・・




え、何これ、マジで!?






日本の輸入業者が「この日本製のフックとリングを付けて組んでくれ」という特注をしたのでなければ、もしこれが中国内で調達されたものであるとしたら、いよいよ日本のニッチ分野の工業も終わりに近いなと思います。

ぶっちゃけ、フックに至ってはカルティバのST46と見分けがつきませぬ・・・(むしろST46だと思うし、ST46であってほしい)


これが「特例」であったとしても、日本のマーケットで売るためにはどうすればいいのかを一つ学んだ可能性があるわけで、凄い時代になったなぁと、ただただ、嘆息してしまいます・・・



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ルアーメーカー向けまとめ:


・ルアーの内部機構は(たとえ本来不要であったとしても)多少複雑化すべし


・シマノやダイワのオシュレート式重心移動システムはコピー対策としてかなり有効


・マグネット式も磁力調節がルアーを複雑化させるので有効


・国産ルアー製造会社に生産を委託する際は「オタク、中国に金型もっていったりしないよね?」と念を押すべし


・フックやリングといった単純パーツは日本製に限る


・でもやっぱり国産はもうダメかもしれない
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Comment 8

2016.04.14
Thu
17:44

シェンカー #-

URL

釣具の繊細な設計や製造に関しては日本は世界一だと思ってますが、中国バブルがこのまま続くなら、ぼらおさんの御考察通り、世界中である程度の品質で何処かで見た事あるルアーが安売りされてるかも知れませんね^_^;(中国バブルが崩壊したらもっと出てくるかも知れませんが・・・)

釣具業界団体とかから輸入業者に圧力掛けるべきでは?

と思いますが( ̄▽ ̄)


結局、Apple対SAMSUNGみたいに紛い物は淘汰されて行くのを願うばかりです。

福岡市内も中国人と韓国人だらけなのでイラっとします( ̄д ̄;)

編集 | 返信 | 
2016.04.14
Thu
19:57

くるぼう #-

URL

レンジバイブ風

初めてのコメント失礼します

先日レンジバイブ風と呼ばれるパチモンのバイブを使ってみたのですが
固定重心ということもあり、よく飛びますし巻けばしっかり泳ぐルアーでした
また、フックはダイソージグのようなものかと思ったら、意外としっかりしたものでした...

本家レンジバイブへの信頼は揺らぎませんが、一個あたり400円程度ということもあり根がかりの怖いポイントではこちらを使ってしまいそうです

編集 | 返信 | 
2016.04.19
Tue
08:45

ぼらお #-

URL

Re: レンジバイブ風

> 初めてのコメント失礼します
>
> 先日レンジバイブ風と呼ばれるパチモンのバイブを使ってみたのですが
> 固定重心ということもあり、よく飛びますし巻けばしっかり泳ぐルアーでした
> また、フックはダイソージグのようなものかと思ったら、意外としっかりしたものでした...
>
> 本家レンジバイブへの信頼は揺らぎませんが、一個あたり400円程度ということもあり根がかりの怖いポイントではこちらを使ってしまいそうです


パクリレンジバイブはいろいろなバリエーションがあって一言では何ともいえないのですが、一部のパクリ品の質はヤバイですね。
泳ぎの云々より、使っている部品の質がホンモノです。

編集 | 返信 | 
2016.04.19
Tue
08:56

ぼらお #-

URL

Re: タイトルなし

> 釣具の繊細な設計や製造に関しては日本は世界一だと思ってますが、中国バブルがこのまま続くなら、ぼらおさんの御考察通り、世界中である程度の品質で何処かで見た事あるルアーが安売りされてるかも知れませんね^_^;(中国バブルが崩壊したらもっと出てくるかも知れませんが・・・)
>
> 釣具業界団体とかから輸入業者に圧力掛けるべきでは?
>
> と思いますが( ̄▽ ̄)
>
>
> 結局、Apple対SAMSUNGみたいに紛い物は淘汰されて行くのを願うばかりです。
>
> 福岡市内も中国人と韓国人だらけなのでイラっとします( ̄д ̄;)


たとえば、パクリ裂波が「裂波」とか「アイマ」とか、商標をパクっていたら話が早いんですよね。
でも「形状」「機能」を模造品だと証明するのはハードルが高く(コストも高い)、難しいみたいです。

以前別のジャンルで商標・知財関係の仕事をしたことがあるのですが、「デザイン」「形状」がパクリではないとされるにはたった3ヶ所の違いがあるだけでいいという判例があることに驚愕しました。

①ウェイトボールの重量が1g違う
②リップ形状(面積)が1mm^2違う
③アイの位置が1mm違う

これだけで商標権・知財権的には「パクリ」とは見做されないわけです。
逆にいえば、パクリだと証明する側は完全なる類似を証明しなければならず、仮にできたとしても莫大な時間と金を費やしてパクリを証明したことに対するリターンが「一輸入元の販売停止」くらいでワリにあわないのでしょう。

金型の流出がどれだけ致命的だったか・・・安易に製造拠点を日本から移したことがどれだけ世間知らずだったか、彼らメーカーがいま事実を噛みしめながら後悔している頃だと思いますw

編集 | 返信 | 
2016.06.26
Sun
02:27

T.K #E6kBkVdo

URL

こんにちはぼらおさん
とても良い記事をかくのでよく読ませて頂いています。

ア〇マはバ〇〇に製造を委託・・は違うと思うんですが、、、、
すみません証拠も根拠もありません。
ただ塗装、プラスチックの質があまりにも違います。
もし本当なら、僕は大ショックです。
その位、自分なりに調べたつもりなんです。ここでは書けませんが。

ぼらおさんは中国製と思われるコピー品のことを言われているのでしょうか。
それなら一時期に大量に300円くらいでありましたね。
酷い作りでした。

これからも良い記事ドンドン書いて下さい。



編集 | 返信 | 
2016.06.26
Sun
12:40

ぼらお #-

URL

Re: タイトルなし

> こんにちはぼらおさん
> とても良い記事をかくのでよく読ませて頂いています。
>
> ア〇マはバ〇〇に製造を委託・・は違うと思うんですが、、、、
> すみません証拠も根拠もありません。
> ただ塗装、プラスチックの質があまりにも違います。
> もし本当なら、僕は大ショックです。
> その位、自分なりに調べたつもりなんです。ここでは書けませんが。
>
> ぼらおさんは中国製と思われるコピー品のことを言われているのでしょうか。
> それなら一時期に大量に300円くらいでありましたね。
> 酷い作りでした。
>
> これからも良い記事ドンドン書いて下さい。


「どこまで」・・・つまり外殻の生産だけなのか、組み立てまでなのか、塗装までやってしまうのかはわかりませんが調べてみると中国でパクられた殆どのルアーがソコ経由ですね。

バ○○イではありません・・・あくまでバ○○イの関連会社ですw

バ○○イはバ○○イでかなり複雑な成り立ちなで問屋が大きく関わっているので、もしかしたら中国で作らせるという当時の方針には問屋の影響があったのかもしれません。

中華コピー品・・・あれはぶっちゃけ99%ホンモノなんですよ。内臓ユニットのバランスが上手に出来てないだけで。



わかっているだけで

・B社
・A社
・T社
・Da社
・De社
・M社

これだけのルアーメーカーがやられてますね。
一番被害を被ったのは間違いなくA社とB社です。

T社はRBだけかと思いきや、主力のKもやられてますし、FCシリーズもやられてます。
このことから、T社はいわれているほど純国産にこだわっていないことがわかります。

M社は一種だけ・・・BCが被害に。
未確認ですがDu社もちょっとやられているっぽいです。

De社も実はAとBに次ぐレベルでやられてます。
これは同じ経路でそうなったわけではなく、どうやら古くからD社独自のルートでやっていたら流出したみたいです。

大手のDa社も一部、B繋がりでやられてますが、もう一方の大手であるS社は被害ナシ。



こうしてみると、ルアーメーカーの製造拠点というか、完成までの流れにはいろいろ複数のルートがあるみたいで、どこどこのルアーはアソコが作っていると断定するのは危険なのかもしれませんね~

編集 | 返信 | 
2016.09.08
Thu
18:56

 #-

URL

国内のルアーが高すぎるんだよ
ひとつ2,000円以上とかおかしいよ
某ヒラメ用メタルジグだって1500円くらいだよね
異常だよ
こんなボロ儲けのビジネスは長くは続かないよ

編集 | 返信 | 
2016.09.10
Sat
04:59

ぼらお #-

URL

Re: タイトルなし

> 国内のルアーが高すぎるんだよ
> ひとつ2,000円以上とかおかしいよ
> 某ヒラメ用メタルジグだって1500円くらいだよね
> 異常だよ
> こんなボロ儲けのビジネスは長くは続かないよ


どうでしょうか・・・かつて円高ドル安でデフレだった頃(民主党政権下の時代)はルアーが本当に安かったです。

大手メーカーの、新品の120mmミノーがセールだと1000~1200円、通常価格でも1400円以下・・・自分もその頃の記憶があるので最近リリースされる新商品なんかは「たっけー!」と驚きますが、よく考えれば円安になれば

A)国内でルアーを作っている=海外から仕入れる原材料が高くなるので販売価格も高くなる

B)海外でルアーを作っている=円の購買力が(仮に)20%落ちたら販売価格も20%高くなる

※ソルトルアーは殆ど国内消費されるものなので円安になったことによる輸出時の競争力UPにメリットはほとんどない

こういうどうしようもない産業構造になっているので一釣具メーカーが行えることに限界があるのではないでしょうか。

「原価」なるものを消費者目線で考えるとどんな商品であれ「ボッタクリ」と呼びたくなるものですが、メーカーからすると持続的にルアーを生産し続けるには1個1個のルアーから利益を出して儲けないとそれが出来ないわけで、いまの時代が(おっしゃるように)1個2000円以上の値段をつけさせているのでしょう・・・

今はデフレでもインフレでもなく、スタグフレーションの時代(物価は上がるが、収入は上がらない)の時代で、さらに人為的な円安の時代ですから、一般アングラーがその負担を強いられているんですね・・・

編集 | 返信 | 

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