ヤマガブランクス アーリープラス89L 最終インプレッション - シーバスロッド

ヤマガブランクス アーリープラス89L 最終インプレッション

 07,2016 11:18
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総合得点:



69/100



前回までのインプレッションはこちらから

好意的なファーストインプレッション
懐疑的なファーストインプレッション
アーリープラス 1ヶ月後



やっとこのロッドから解放される・・・!


いや、別に悪い意味ではなく、このロッドの続きを書くためにはソコソコのサイズの魚を(少なくとも)数匹は釣らないとダメだろうと思っていましたが、何故かこのロッドで釣れるのは小物ばかりで中々書けなかったんです。

それで、他のロッドを使いたい・・・否、使ったほうがいいシチュエーションの釣行までこのロッドで頑張っていました。

やっとのことで「自分が使いたい時にだけ使えばいい」という平常運転に戻ったというニュアンスで、このロッドから「解放」されたということです(笑)

ロッドのインプレッションと一口にいっても、アルテサーノエヴォルティアのように然程使い込みをせずとも分かるようなロッドもあれば、ミッドストリームのようにトコトン付き合ってみないと真価がわからないロッドもあって難しい・・・
先日、このロッドで「これでもかっ!」というほど釣りに釣った濃密な時間を過ごせたので、最後の1ピースを埋めるような記事が書けそうです。




感度


前回の記事では「ラテオよりあるんじゃないか?」と書きましたが、訂正します。

間違いなく感度あります。

これはやはりブランクのおかげというよりは、ガイドセッティングのおかげでしょう。
飛距離と精度が出やすいけれど、その代償としてガイドフレームがしなって感度がやや劣るのがKL-H。
いま現在主流となっているこのガイドを敢えて使わずに、背の低い口径25mm高さ44mmのKLから始めることによって、低~中弾性カーボンのデメリットである感度の無さを大幅に打ち消すことに成功しています。

なので、低弾性の「ノリの良さ」はそのままに、感度の良さも兼ね備えるロッドとしてみていいでしょう。

ただし、感度はあるけれど、それはガイド設定による感度であって、カーボンブランクの感度ではない・・・(この一行の意味は実際にアーリープラスを使わないと理解されにくいかも)



包容力


ビシャッ!ビシャッ!と毎回決まるようなキャスト精度はないけれど、その代わりに投げるルアー(特に大きめのミノーや強めのマグネット式重心移動を搭載したミノー)への包容力があって、オープンフィールドには最適。ただし、バイブ類は不得意。



疲労感


ここを厳しく採点しました。

このロッドは・・・疲れる。

グリップエンドから得られるサポートが最少で、キャスト・リトリーブ・キャッチに至るまでの取り込み、それぞれの動作の際に使い手に負担を強いています。

例えば、このロッドを使って「2時間くらいで一匹釣れたらいいな」というスタイルの釣りならば、それはそれでいいと思う。
でもこのロッドで3時間も4時間も投げ続けるのは苦痛以外の何者でもなく、40cmもないセイゴを5匹くらい釣ったらロッドを支える側の腕に過大な負担感が生じるのは如何なものかと思う次第です。

ブランクはいい、ガイドもいい、ただ、そのスペックを引き出すためにグリップエンドの短さや、リールシートの細さ(最近気がついたけれど、この細すぎ感のあるリールシートが疲れの要素を増しているような・・・)、リールフット締込み具の握り心地といった使い手目線がトコトン無視・・・いや、犠牲にされているのは黙認されるべきではないと思います。

アーリープラスがヤマガブランクスにとってシーバスロッドの「名刺」・・・自己紹介代わりのアイテムだとするなら、自分が感じるヤマガとは

①本質はいい

②細部がダメ


つまり、エントリーモデルから上級へのステップアップを躊躇してしまうメーカーです。

大体、アーリープラスはヤマガではエントリーモデルですが、実売価格を比較するに他社だとミドルレンジになるわけです。
ラブラックスとかルナミスとか。

それだけの価格の物に細部の詰めの甘さ・・・云わば「手抜き感」を与えてしまっているのは、厳しい言い方をしますが、失敗ですね。

人によっては「このブランク感の上級バージョンがあって、しかも細部がもっと高級化されているかもしれない」という好意的解釈をするかもしれませんが、「玄関が汚い会社が良い会社であるわけがない」的な解釈をするタイプの人からみるとヤマガブランクスは危険臭を漂わせていることになります。



キャッチ&パワー


非常にバラしにくいロッドです。
もしバレるとしたら、バイト発生直後が一番多いと思います(つまりフッキングに失敗した時)。

パワーはLクラスにしては中々で60~70cm相手で困ることは滅多になかろうかと思いますが、気になった点が一つ。

魚が左右に走る「ホリゾンタルな動き」のいなしは優れているのですが、下に潜ろうとしたときの「バーチカルな動き」に対してはリフティングパワー不足を感じました。
横に走る魚はドラグをあまり出させずにロッドの曲がりだけでコントロールできるのに対し、魚が下に行こうとする動きを見せるとロッドを立ててリフトしようとしてもパワー不足であとはもう祈るしかない・・・みたいなw

水深があるところで潜られてもどうってことありませんが、1~2mしかないシャローの瀬に突っ込まれると冷や汗モノですね。

まぁ、この辺はLパワーなのでご愛嬌ということで・・・



最終評価


まずは69点という意外(?)なスコアですが説明を。

70点台にすると「満足感」が表現されてしまいそうな気がするので、「もったいない・残念な気持ち」を表すためにこの数字にしました。

(イヤラシイ意味はありませんよ!)

要するに、このロッドはエントリーモデルという域から明らかに逸脱しているわけです。

どんなものにしたって何かを作る場合はまず最初にターゲット層があって、予算があって、その枠内で検討しながら作り上げていくものです。
が、このロッドはまず先に「自分達が作りたいモノのビジョン」が先に存在しており、それからターゲット層と予算を考えながら仕上げてみたら「本当はこうでありたかったけど、予算の都合でこうなった」感が滲み出ているよう見受けられるんです。

ロッドの設計思想はわかる。
でも、ロッドの細部に関する仕上げがそれに追いついていない・・・詰めの甘さを感じるロッドになっていますね。
もしアーリープラス全体を一括りに評するのが間違いであるとしたら、少なくともこの特定のモデル「89Lシャローマスター」がそう評されるべきです。

本当にテストを重ねたんかコレ?
テスターは本当にコレで納得したんか?
実釣で感じた疑問を設計サイドにフィードバックしたんか?
遠慮して言わなかっただけじゃないか?
設計サイドは「エントリーモデルだから」なんて暗黙のルールをテスターに強要しなかったか?

それともコストの問題でそんなことには時間も金も掛けられなかったんか・・・?



一言でいえば、「ヤマガのエントリーモデル」としても「実売25Kのミドルレンジ」としてもどちらも中途半端なんですよ。



日本製であることの制約が価格として反映されるのであれば、いっそのこと価格を5千円なり1万円なり上げてもっと仕上げを煮詰めてくれたほうがユーザーとしても助かります。
ワザワザ好き好んでヤマガのロッドを買う人なら、確実にそっちを選ぶでしょう(それが仮にエントリーモデルであったとしても)。




結局、アーリープラス以外のヤマガを知らない使い手からすると、どちらかといえば「アーリープラスより上のクラスの期待感」より「困惑感」が残るのではないかな・・・と、感じます。


ブランクは、良い。


本当に良いし、この会社はその味・・・ポテンシャルの引き出し方も知っている。


ステーキで例えるなら、肉は良いし、焼き方もいい。


ただ、調味料の加減や付け合せの野菜が、残念。



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Comment 6

2016.05.07
Sat
15:54

ヤマガファン #TgDt1WI6

URL

アーリープラス100m、ブランクお気に入りです。これがバリスティックになったらどうなるだろうかと楽しみですが、お値段クソ高いですね。お小遣い貯めてますがまだ買えそうにありません。
ヤマガファン以外はほぼ手を出さないでしょうね〜。

編集 | 返信 | 
2016.05.08
Sun
16:07

ぼらお #-

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Re: タイトルなし

> アーリープラス100m、ブランクお気に入りです。これがバリスティックになったらどうなるだろうかと楽しみですが、お値段クソ高いですね。お小遣い貯めてますがまだ買えそうにありません。
> ヤマガファン以外はほぼ手を出さないでしょうね〜。

バリスティック、めっちゃ高くなりましたねぇw

希望としてはアーリープラスをもっと手を抜いて安くするか、もっと力を入れて先代のバリスティックのポジションにするか、どちらかにして貰いたいです。

編集 | 返信 | 
2016.05.08
Sun
17:06

ゴンテツ #-

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初めまして

いつも楽しく読ませていただいてます。

ステーキのくだり、凄く上手い表現ですね。
僕もヤマガしか使ってなかったんですが、離れた理由はそういう事だったんだな…
と、今さら確認できました。

編集 | 返信 | 
2016.05.09
Mon
22:17

フェラ井 #-

URL

ぼらおさんウォッチャーになって、今までで一番胸のつっかえが取れた記事でした。疲労の原因は、自分のファイトに余計な力みがあるのとグリップ形状のせいだと思っていました。こんなん普通気付かないですよ。ブランクのあまりの良さと初代の価格帯から、「まあこんなもんだよね」と妥協していた部分です。この課題は、間違いなく初代アーリーから引き継いでいます。となると、もうすぐ手元に届くであろうバリスティックTZに、とても胸騒ぎがしてきましたw

編集 | 返信 | 
2016.05.11
Wed
13:38

ぼらお #-

URL

Re: 初めまして

> いつも楽しく読ませていただいてます。
>
> ステーキのくだり、凄く上手い表現ですね。
> 僕もヤマガしか使ってなかったんですが、離れた理由はそういう事だったんだな…
> と、今さら確認できました。

最後のインプレを書くにあたり頭の中にあったのは・・・

「ヤマガを好きになる人がいるのはわかる、でも、少しムリして好きになっているんじゃないかな~」

ってことでした。


それを言葉にするとき最初に閃いたのは

「モノはいいし設計もいいけれど・・・まるで素材の良さに甘えた田舎料理になってる」

でもこれだとブランクがまるで天から降ってきたかのような感じがするので

「ステーキ」

にして素材と調理法はいいのに最後のツメの甘さにすれば上手く表現できるな~、とw


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2016.05.11
Wed
14:02

ぼらお #-

URL

Re: タイトルなし

> ぼらおさんウォッチャーになって、今までで一番胸のつっかえが取れた記事でした。疲労の原因は、自分のファイトに余計な力みがあるのとグリップ形状のせいだと思っていました。こんなん普通気付かないですよ。ブランクのあまりの良さと初代の価格帯から、「まあこんなもんだよね」と妥協していた部分です。この課題は、間違いなく初代アーリーから引き継いでいます。となると、もうすぐ手元に届くであろうバリスティックTZに、とても胸騒ぎがしてきましたw



ある意味、初めてリールシートの価値を真剣に考えさせられた1本になりました。

最初は理由はそこにあると思っていたんですけど・・・


そうじゃなく、60~70でも簡単にのされない作りにするために、バットの張りを強くしてるんですね。

でも、バット自体はLのティップ相応に曲がる仕上げにしたい。

じゃあどうするかといえば・・・バットのある一点からずーと同じくらいの肉厚が続く超スローテーパーにして、大きく全体がゆっくり曲がるようにしてるんですね。
魚のパワーを吸収するのではなく、グリップエンドの後方(つまりは使い手の肉体にw)伝達するような曲がり方をするわけです。

なんじゃこりゃ、とw

「バットがスローテーパー」ということに気がついたら、あとは全部説明できるようになりました。

このブログは多くのヤマガ愛好家が読んでいるであろうことは何となく知っているので、書くのは勇気がいりましたが・・・むしろヤマガ愛好家が書いた意味を分かってくれているようで、冥利に尽きます(苦笑)

ほんと、このロッドはステーキなんですよ。

肉、よし

火加減、よし

ソースと付け合せ、微妙

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