観測と分析 - 初心者に読んでほしい思考・行動

観測と分析

 27,2016 18:45
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正しい観測と正しい分析のお話。



突然ですが、こういう本があります。


立花隆「精神と物質」―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか

本書は立花隆による利根川進への20時間にわたるインタビューの集大成である。利根川がノーベル生理学医学賞を単独で受賞したのは1987年。この分野では単独受賞だけでも珍しいが、選考委員のひとりが「100年に一度の大研究」というコメントを発したこともあり、受賞後、日本のジャーナリストが大挙して押しかけた。しかし、いずれも初歩的な質問に終始し、業を煮やした利根川は一度だけ本格的なインタビューに応じることにした。その相手が立花隆だったというわけだ。

とにかくおもしろい。ノーベル賞の対象となった研究「抗体の多様性生成の遺伝学的原理の解明」の内容がわかるだけでなく、さまざまな実験方法や遺伝子組み換え技術などのディテールが書き込まれているおかげで、仮説と検証を積み重ねて一歩一歩真理に近づいてゆくサイエンスの醍醐味が手に取るように伝わってくる。利根川が定説を覆す仮説をひとり確信し、文字通り世紀の大発見に至るくだりには思わず興奮してしまった。利根川の研究歴をなぞる構成で、運命的な出会いや科学者の生き方といった人間的な側面も興味深い。

ワトソン、クリックによるDNAの2重らせん構造の発見に始まった、分子レベルで生命現象を究めるという分子生物学の飛躍的な発展は、物質から生命、精神へと自然科学の方向転換をもたらした。ヒトゲノムの解読もそのひとつだ。いずれは生命現象のすべてが物質レベルで説明できるとの予測すらある。本書は利根川の偉業とともに、人類の知の歴史における一大事件である分子生物学草創期のあらましを書き留めた記念碑的名著である。




この本は、立花センセイが「知の巨人」から「痴の巨人」に変身する前に書かれた名著で、化学なんてまるでトンチンカンな文系バカでも面白く読めるインタビュー本なのですが、その中で利根川進氏が実に鋭いことを述べている一節があります。

要約すると:

・物事の本筋にはあたらない、枝葉末節ともいえるどうでもいいことを、どれだけ熱心に研究しても無駄なものは無駄

・間違った前提を基に理論を構築しても間違った結論にしかたどり着かない


ということです。

ノーベル生理学医学賞受賞者の発言となると、重みが違いますね!




シーバスでいえば・・・例えば、我々アングラーは毎日のように間違った前提で釣りをしています。




自分を例に挙げると、こういうことがありました:

とある場所で釣ろうとすると、エントリーした瞬間に濃い密度のコノシロの群れが入っていると分かりました。
当然、ベイトはコノシロだと思い、しめしめと思って釣り続けるのですが、一向に釣れません。
ベイトもいるし潮もいいし、季節的には絶対釣れるはずなのに、長い長い空虚な時間を過ごした後、やっとのことで1匹キャッチしました。
その1匹を持って帰って腹を割いてみると・・・なんと親指サイズのヒイラギがギッシリ詰まってました。



ヒイラギ
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コノシロを見た!ベイトはコノシロである!
というのが間違った前提であり、そこから釣りを発展させても無駄だったわけです。
偶然的に1匹釣り上げることができ、その胃の中身を観測したことによって、その理由が正確につかめました。



コノシロ
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この事象は「コノシロがいる水面にルアーを投げてスズキを釣った」というまとめ方が可能といえば可能ですが、その解釈だと再現性がありません。

「コノシロがいる水面にルアーを投げても釣れなかった、実はスズキはそれより遥かに小さなヒイラギを偏食していた、偶然にも1匹釣れたことによってその事実が判明した」

あるいは

「小さなヒイラギを偏食しているスズキでもコノシロを意識した大き目のルアーで釣ることは可能性としてはゼロではない」


という理解が正しくなります。



事象の結果とその理由の因果関係は、正しい観測と正しい分析があってこそ、はじめて理解されるものといえるでしょう。
故に、己の主観を取り除くことが出来る人ほど、シーバスへの距離が近くなります。




初心者でいえば、「間違った前提」の圧倒的なケースが、ライト。

NG集①

それから、モノを地面においてランガンを放棄しているさま。

NG集②

ライトを水面に照射しても問題ないという前提を発展させても釣れないし(もしそれでも釣れる、というならばライトを照射しなければもっと釣れているということ)、モノを地面においてランガンを放棄している人が高度な回遊待ちの戦略を立てることができる可能性は極めて低いでしょう。


端から見てもいい道具もってることがわかり、シーバスを釣りたいという熱意が伝わってくるのですが、「間違った前提」に立脚しているあいだは発展がゼロですね。もったいない。


この「初心者に読んでほしい思考・行動」シリーズは今、この5月という季節だからこそ、初心者の方に読んでもらいたいです。

「遠くの聖地」より「近くのホーム」

観察眼と純粋技術


これらの記事もなかなかオススメですよ!









あ、何故こんな小難しい体で記事を書くのかって?



そりゃ、難しそうな話をしているフリをしてハクを付けるためですよ!



「よくわかんないけど、ライトは必要時以外は付けないほうがいいのか」



みたいになればいいかな~、なんちって。
関連記事


Comment 8

2016.05.27
Fri
22:06

あるまだ #-

URL

脳科学に携わる者として

拝読させて頂きました。

間違ってないと思います。

というか、それわ確かめるために我々は立場は違えども、研究したり釣りをしたりしているのだとおもいます。

Muthos Acuraいいですね。はあと

編集 | 返信 | 
2016.05.28
Sat
01:13

貧弱 #-

URL

と、とりあえずベイトタックルでシーバスやってるのは間違いではないですよね?

編集 | 返信 | 
2016.05.28
Sat
08:55

くろたろう #l5HLehIY

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あ~この記事も同じようなのを昔書いた覚えがありますね
「カニパターン?ワンパターン?」って話で所謂パターンについてです。

釣り人って何故か主観が強くなるんですよね(笑

SNSで仲間だ~なんて言いながらも、結局一人の世界で(笑
頭の中で考えて考えて……でも結局方向違いで

なんてことしながら死ぬまで勉強ですかね(笑

編集 | 返信 | 
2016.05.28
Sat
17:40

ぼらお #-

URL

Re: タイトルなし

> あ~この記事も同じようなのを昔書いた覚えがありますね
> 「カニパターン?ワンパターン?」って話で所謂パターンについてです。
>
> 釣り人って何故か主観が強くなるんですよね(笑
>
> SNSで仲間だ~なんて言いながらも、結局一人の世界で(笑
> 頭の中で考えて考えて……でも結局方向違いで
>
> なんてことしながら死ぬまで勉強ですかね(笑

釣りは正確な観測が難しい行為ですからね。

だから面白いのでしょうw

編集 | 返信 | 
2016.05.28
Sat
17:40

ぼらお #-

URL

Re: タイトルなし

> と、とりあえずベイトタックルでシーバスやってるのは間違いではないですよね?

た、多分・・・

編集 | 返信 | 
2016.05.28
Sat
17:42

ぼらお #-

URL

Re: 脳科学に携わる者として

> 拝読させて頂きました。
>
> 間違ってないと思います。
>
> というか、それわ確かめるために我々は立場は違えども、研究したり釣りをしたりしているのだとおもいます。
>
> Muthos Acuraいいですね。はあと


アキュラ、振りたいです・・・

編集 | 返信 | 
2016.06.03
Fri
22:57

くろこげ #jjTL4YWY

URL

イカでさえも上から光りをあてると駄目

公開されている水産工学研究所のLED関係文献を読むと興味深いです。

イカは上から照らされるの嫌うようです。
水平方向の光に引かれるけど、陰に隠れる。
ベイトに寄ってくるわけではない。

イカとシーバスはまったく別物ではありますけど。

編集 | 返信 | 
2016.06.04
Sat
09:24

ぼらお #-

URL

Re: イカでさえも上から光りをあてると駄目

> 公開されている水産工学研究所のLED関係文献を読むと興味深いです。
>
> イカは上から照らされるの嫌うようです。
> 水平方向の光に引かれるけど、陰に隠れる。
> ベイトに寄ってくるわけではない。
>
> イカとシーバスはまったく別物ではありますけど。

へー!そうなんですか!

イカは集魚灯の使用がメジャーで、光が好きかと思っていましたが、イカでさえTPOがあるんですね・・・

シーバスは明らかに光の「範囲・方向・光量が常に一定であるかどうか」を強く意識しており、どれか一つでも不安定であるならば光を嫌いますね。
逆に安定しているならば明暗の明に居座ることもあるので、「好き」じゃないにしても「問題ない」程度までには許容してくれると思っています。

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