効率的なランガンを考える

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突然ですが問題です

ある地方にA・B・Cという地磯があります

A・B・Cはそれぞれ独立した磯でお互い繋がっていません
(海岸線を伝って歩くことができません)

A・B・Cはそれぞれに磯特有の個性がありますが、基本は同じ海域の同じ方角に向いた磯です

Aの期待度は100
Bの期待度は50
Cの期待度は80

Aの往来難易度および疲労度は100
Bの往来難易度および疲労度は50
Cの往来難易度および疲労度は40

Aの人気度は30
Bの人気度は60
Cの人気度は100

あなたがこのA・B・Cを攻略しようと思ったらどの順番で周りますか?
あなたは朝一番で乗り込んだのでどの磯でも選べます
順番とその理由を述べなさい。
この問題ではA・B・Cそれぞれの磯がもっとも好ましいとされる潮位のことは考えなくてもよいとします。

また、あなたが最初に選択した磯でまったく釣れそうにないという感触を得た場合、次にどのような行動をとりますか?
次にとる行動とその理由を述べなさい。




えー、早速ですが


「おれはAからだぜい!」

とか

「いや、朝イチなら一番人気の磯を焼いてから不人気磯を周ったほうがチャンスが増えるんじゃないか」

とか考えたそこのアナタは落第です。

こういう問題はまずその日がいつで海況がどんな感じであるのかを考えるのが大切なのです。


週末なのか有給でとった平日休みなのか
大荒れなのかそこそこ荒れなのか凪気味なのか
早春の雨模様なのか秋の晴天なのか
etc. etc.


自分の都合だけを考えてスケジュールを組み立てようとする自分本位のスタンスは捨てましょう。
当然ですが、週末より平日のほうが競争率が低く、ちょい荒れより大荒れがのほうが競争率が低く(凪の場合は上物師やら青物マンが出てくるので実は一番競争率が高い)、寒くて不快な天候のほうが競争率が低いものです。


まず考えるべきは、その日そのシチュエーションではどれくらいの競合が起こりうるか、です、

2月の気温5度前後で小雨(ときどき湿った雪)がちらついている中、風速7~10mが吹いている状態の平日の磯にはライバルなんてほぼいないんですよ。
逆に10月半ばから11月半ばくらいの秋晴れの週末の磯なんて、石を投げたらアングラーに当たるくらいの人口密度なんですよ。

自分がどういう日に釣りにきているかを客観的に考えられない人には効率的なランガンの組み立てができません。

上記を踏まえて代表的なケースを2件ほど想定して問題を考えていきます

土曜日のそこそこ荒れの場合

ぶっちゃけこれが一番あるパターンでしょう。

自分なら本命のAを最初に選びます

Aを終えた時にCが残されている可能性はほぼゼロでしょう・・・AからCの状況が目視できるならば誰しもが無駄な労力を費やさずに済むと思いますが、AからCの状況が目視できないと次はCに行こうとする人が実は結構多いですね・・・これ、99%無駄に終わりますから。

自分がどういう日に釣りにきているかを客観的に考えられない人には効率的なランガンの組み立てができない

↑その理由が理解できない人がいたらこの言葉を100回くらい斉唱するように

Cの期待度・人気度、Cへのアクセシビリティ、週末というシチュエーションを考えるとほぼ間違いなく人が現在進行系で釣りをしているか、そうじゃなかったら既に撃ち尽くしたあとの焼け野原になっているはずです。


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磯ヒラ歴が長くなるとやがてアングラーや車の姿が見当たらなかったとしても(道路や駐車スペースが未舗装だったら)轍の状態とか、磯への入り口の草木の状態、山道についた足跡の有無、それから蜘蛛の巣の有無なんかで誰かに入られたかどうかがわかるようになります。
なんだかやっていることがジャングル戦のベトコンのような感じがしてますが、実際やっていることに殆ど違いはないので慣れるとそういう風になってしまうモンなんでしょう。
こういう観察眼が養われていると、土曜日のそこそこ荒れのCを奇跡的に誰にも入られなかったという確信のもとで、2回目か3回目のランガン先として入ることができます。
これがランガン効率というものです。
誰かが既に撃ったあとだと気が付かないままCに入るのは効率の話ではありません。


少し話が逸れましたが、Aのあとは(Cは誰かに入られてしまったという前提で)Bを選びます。

なお、もしBにも入られているようであったらAを終えた時点で潔くその場を離れます
大賑わいの週末だったらBにも人が流れているでしょうから期待度100を消化してそのエリアは終わり・・・そうでもない、Bにも入れる余裕がある週末だったら期待度150を消化して疲労度150とともに次なる判断を下します。
どれくらいの疲労度が蓄積されたら行動不能になるのかは人にもよりますが、仮に限界が250だとすると200程度に留めておくのが利口でしょう。
Bを終えてもまだ満たされない場合、B程度の難易度の磯を二ヶ所かA程度の難易度の磯の磯を一ヶ所行けます。
Bを終えた時点で満足だった場合、B程度の難易度の磯をもう一ヶ所・・・・非常に満足しているならその時点で切り上げてもいいでしょう。
ま、平均的な磯ヒラDAYってこんなモンです。

Cを最初に選ばない理由はただ一つ・・・本来Cに行くべき人たちがAやBに流れるとランガン成立の可能性が消えることがある、ということです。

ぶっちゃけ週末に大人気のC磯に入るような人たちはCに隔離しておくのがいいんですよ。
仮にCが埋まっていたとしても彼らはお構いなしにCにきたり(マジ)、普段はBかCしか行かない人たち(Aにはあまり行きたがらない人たち)が玉突き事故的にAに押し出されてランガン先が潰れてしまうことがあるんです。


A→(ほぼ無いだろうけどもしかしたらC)→多分B


難易度が高く不人気なAから入っていたらBも行けたかもしれないのに・・・


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Aの期待度は100
Bの期待度は50
Cの期待度は80

Aの往来難易度および疲労度は100
Bの往来難易度および疲労度は50
Cの往来難易度および疲労度は40

Aの人気度は30
Bの人気度は60
Cの人気度は100



C(後続者が入ってくる)→B(埋まる)→A(埋まる)


Cを選ぶとこういう地獄が出現することも・・・笑

平日のかなり荒れの場合

ジブン、こういう日は絶対にCから入ります。

こういう日はC→Aの期待度180取り、もしくはC→A→Bで230総取りができたりします。
仮に常日頃からCを狙う人が現れたとしても、こちらが先にCに入ってしまったら大抵Bに流れるものです。
そもそもそういう人種はエントリー時間が遅い傾向があって、こちらがCを焼き尽くして次の磯に移動したあとにCに登場したりするので先にCを抑えておけばあとは何とでも料理できるモンです。
もしAを取られたとしても最悪C→Bで130と、そんなに悪い選択にはならないですからね。

いうまでもありませんが、磯のランガンで大切なことは「あの磯に入りたい」みたいな単純思考から脱却して、一日の期待度の総量を如何に最大化するかという概念を持ち、それを考えることです。

このエリアで得られる期待度の総量は230で、230はどうやっても望めない日もあれば、上手くやればその殆どを独り占めできる日もあります。
じゃあこの見極めはどうやってやるかというと、前述の通り・・・はい、みなさんご一緒に:

自分がどういう日に釣りにきているかを客観的に考えられない人には効率的なランガンの組み立てができない

この一文に集約されています。

あなたが磯ヒラをしたいと思った日は多くの磯ヒラマンも同じことを思っています。
あなたが磯に行きたくない厳しい天候の日には多くの磯ヒラマンも磯に行きたくありません。
あなたが磯に行けない日は多くの磯ヒラマンも行けません。

逆算しながら物事を推し量ってみましょう。

最初に選択した磯でまったく釣れそうにない気配を感じた・・・助けて!

朝イチ、誰にも荒らされていない磯、自由に選んだこれぞという磯でヒラスズキの気配がなかった・・・

磯ヒラあるあるシチュエーションにして大いなる議題の一つが、コレ。

端的にいうと・・・他のエリアにアテがあるなら(仮に最初に入った磯がAなら)BもCも捨てるべきです。
このような状況においては近接した連続性のある磯に固執するのは生産的ではありません・・・経験上、引き続きBとCをランガンしても得られるものは僅かであることがわかっているからです。
アテがないなら残りのBとCをくまなくランガンして「僅か」を拾います・・・ロッドは一番ノリがいいヤツ(自分ならバリヒラ11MH)にして。
Cに先行者がいてランガンできそうないのであれば、おそらくBには行かずにAで粘りますね・・・あまり計算できない回遊を期待して。

この状態のABCの磯は例えていうならば、流れが緩い状態の河川シーバスなんです。

流れがあると捕食意識が高いシーバスが「いいところ」に集まってきて狙って釣りやすい。
しかし流れがない状態だと“どこかにはいるし、いるところに流せば食ってくるけれど、そもそも魚影が薄く必ずしも「いいところ」にいるわけではないので狙って釣りにくい”←こういうことなんですね。
ランガンで機会を掘り起こしていくしかないワケです。

ABCの磯をデイリーシーバスでいうところの橋に置き換えて理解しても構いません。

流れがない状態でAの橋を撃ったけど当然のように無反応だった場合、その付近のB橋やC橋を撃っても得られるものは少ないと思うっしょ?
もしかしたらシェードに1,2匹くらいたまたま隠れているかもしれませんが、この状況下においては「シェードに1,2匹くらいたまたま隠れている(多分)フッコ」が付近一帯から得られるものの全てだと理解できるはずです。
そういうときは流れがしっかりある川に移動するか、その場で流れを待つかがとるべき行動として正解です・・・それは問題が橋にあるのではなく、流れの有無にあるからです。

ABCの場合、A(もしくはC)が理想の状態でダメだった場合、残りのBCもダメであろうという目算が成立します。
逆にいうとAがよければBCもいいであろうというコトにもなります
Aが離れ根が多くてBがドン深でCがシャローで・・・程度の違いはあまり役に立ちません。
期待値として計算できるのはせいぜい「ABC全部撃ったら1~2回くらいの魚信があるかもね」程度です。


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ズバリ、ここで求められるのはエリアの変更です。

同じ方角に面した磯なら最低でも4,5km、できれば10km以上離れたエリアへ移動してみるとか、突き出た岬状の磯でダメだったら湾状の磯にしてみるとか、風表がダメだったら風裏にしてみるとか、そういうドラスティックなエリア変更が推奨されます。
それができないのであれば「シェードに1,2匹くらいたまたま隠れている(多分)フッコ」を拾うか、回遊が起きるのを待つかしか策はありません。
河川シーバスだと流れの発生と流れの発生に伴う小規模マイグレーション(つまり橋やらカケアガリやらへの捕食のための移動)いうものは待っていれば必ず出るものですが、磯ヒラにおいてはABCが待っていればヒラスズキのフィーディングゾーンになると約束されたものではありません。
もしかしたら、運がよければあるかも・・・程度のものです。



つまり・・・?



行くアテがあるなら行け、動けるならさっさと動け、そうでなければ祈れ・・・つーことになります。

結局のところ

そもそも磯の期待度とか人気度とか(問題からあえて外しているけど)潮位による良し悪しとかは、ひたすら通って経験を積まないとわからないもので、それらがわかってない状態だと物事を判断する基準そのものが無いに等しいわけですよ。

どんな建物も土台となる基礎がしっかりしていなければ、上がコンクリートでできていようがチタンでできていようが危ういものなんですナ。

効率的に物事を推し進めようとするとまず最初に非効率的に土台作りに勤しむ必要がある、と。

この記事はライトにやさしぃ~く干したばかりのバスタオルのようにフワフワな感じで書かれていますが、この記事ですら(表面的に文字を読むのではなく)実践的に理解するには最低限の「積み重ね」が必要となるわけでして、諸兄におかれましては磯ヒラ道の奥の深さがどれくらいのものであるかお察し頂けましたならば誠に祝着候にて、恐悦至極に存じまする(なぜか妙な戦国時代の言葉になる)


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