fimoフックH#4

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このフックを一行で表現するとスバリ


「一見すごく良さそうにみえるけど実はコスパ以外は大したことないフック」


または

「刺さりが残念すぎるフック」

or

「ガマSPH#4には到底及ばないフック」

or

「DUO ソルトウォーター用純正#4より多少マシなレベルなフック」

or

「払ったお金の分の仕事はしてくれるフック」

・・・まあ、そういうヤツです。

ちなみにこの記事はfimoフックHの#4サイズのみ、しかも磯における使用感のみに関して記述しています。
(fimoフックを買って使ったことがあるのはMHとHの#4だけなので他のサイズバリエーションに関しては評価できない)





公式スペックでは1個0.94gとのこと


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ただし、0.94gの個体は少なく、実際は0.91(min)~0.94(max)くらいの幅で0.92gの個体が多かった印象。

ちなみにHクラス(太軸)の基準であるST56#4が0.92g
がまSPHの#4が1.00g
DUO純正の#4が0.87g

正確に何mmクラスの鋼線を使っているかわかりませんが、堂々たるヘビークラス(ST56クラス)のフックといっていいでしょう。
実際のところ、強度的にはDUO純正やST56より上だと思います(体感)。
ヒラスズキや中型青物程度には申し分ない強さがあり、信頼できます。


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磯ではST-56#2クラスのフックが搭載できない小~中型ルアーにはST-56#4クラス(つまりfimoフックの#4クラス)のフックを付けるのがセオリーです(もしくはST-46#3が標準装備のルアーだけれども様々な理由からあえてST-56#4クラスに換装するとか)。

具体的にいうとミノーであればこのあたり
・フィードシャロー128
・裂波140
・ナバロン150
・タイドミノーSLD145
・タイドミノースリム140

シンペンなら
・スライドベイト90mm28g
・ぶっ飛び君95

バイブなら
・ロリベ88
・レンジバイブ80


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そういう意味ではこのフックは水や空気のごとく消費されるものであり、個人的にはSPHの過剰品質(どれだけ高品質であっても不可逆的な潰れや曲がりがすぐに起きるのが磯のフック事情)のブツよりfimoフックやDUO純正のようなコスパ重視のブツのほうが有り難いですね。




・・・が、しかし・・・




このフックは形状的にあまりよくない形をしています(マジ)


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これ、一見ガマSPMHのような流行りのナウい姿形をしてますけど、「ほぼストレート・スロート」のガマと違って内側にかなり傾斜しててギャップがかなりナローになってるんですね。
ついでにいうと形状的にちょっとボディ絡みやすい・・・いわゆる「エビり」やすいフックです。相性が悪いルアーが存在します。
いや、それだけだと別段騒ぐ要素はないというか、掛けたあとのバレにくさ重視でフックを設計するとこの要素を取り入れてるモン(たとえばSTX45とかも微妙に内側に傾斜してる)なんですけどね・・・問題はスロート長やシャンク長との調和がとれておらず、フッキング時に不利な形状になってしまってることなんです、はい。

別の言い方をするとクリーンに貫通しにくい形状であるということです。

ガマSPMH/SPHの設計思想はこうなってるんです

・ロングシャンク/ラウンドベント/ショートスロートではありません(つまりo'shaughnessyタイプではありません)
→フッキング時にテコの原理の優位性はありません

・その代わりに(ほぼ)ストレートなスロートを採用してワイドなギャップ幅を確保しました
→刺さりが若干向上します

・バレにくさの確保は内側への傾斜ではなくロングスロートに頼ります
→バレにくさが若干向上します

ようは何かを増やした(減らした)分、どこかでバランスをとってるんですね。


ところがfimoフックは

・ロングシャンク/ラウンドベント/ショートスロートではありません(つまりo'shaughnessyタイプではありません)
→フッキング時にテコの原理の優位性はありません

・バレにくさを確保するためスロートは内側へ傾斜させギャップをナローにします
→バレにくさが向上しました

・スロートを内側へ傾斜させると力の作用の角度(ベクトル)的に刺さりがよくなることがあります
→スロート長がロングすぎ&ギャップ幅がナローすぎで刺さりの向上に寄与してません

こういう感じで細部が煮詰まってないんですね。


ちなみに同じく内側に傾斜しているSTX45はスロート長を少し短くすることによってナロー化したギャップ幅の不利を調整してます。
みんなイロイロ考えてるんですね。
fimoフック以外

フックというアイテムは見る人が見たら設計の意図・・・設計の「深度」がスグにわかっちゃうモノなのです。
一見雑に作られているようにみえるDUO ソルトウォーター用純正は、実は形状的に設計がかなり優れていることがわかります(もしかしたらテキトーに作ったらできた、ただの偶然かもしれないけど笑)。
刺さりの良さというものはフックポイントの鋭さとフックの形状の二要素から成り立っているわけですが、fimoフックの#4は残念ながらそのどちらもあまりよろしくない、つーことですね。
ま、前者は仕上げ用砥石でバリを軽く取ってやる感じで研ぐと問題ないですけど。
ちなみに上のほうででてきたo'shaughnessyタイプというのは・・・あ、この辺のフックのマニアックな話はいくらでもできるんですが、こんなタイクツな話をしてもきっと面白くないでしょうからヤメにしましょう。
この話をまとめると、fimoはDUOに比べて(フックの形状による)刺さりの甘さからくる即バレ系あるいはバイトが綺麗に乗らなかった系のバラシが多くなる、ということです。
体感できるほど違いを感じます。
バラシにくさは針以外でも得られる要素ですが、刺さりの良し悪しは針の要素が99%なんですね。
この観点から、純粋なヒラスズキ狙いであるのならば、個人的にはDUOのほうが好きです。


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あ、そうそう。
パッケージを開けた瞬間の、デフォルトの刺さりの良さの話。

えー・・・大変言い辛いコトですが、開封したてのfimoフックH#4を手の指の爪に軽く直角にあてて動かない率は30%程度です。

どういうことかというと、1個のトレブルフックにある3つのフックポイントのうち、「爪判定法」を実施すると2つは爪に傷すらつくことなく滑らかに動いてしまうということです(苦笑)
3つとも動いてしまう(つまり爪に刺さって動かないほど尖っているポイントが1つもない)個体も別に珍しくないです。
おそらく化学研磨の水準が低い&検品が緩いんでしょうネ。

ですが安心してください・・・この30%くらいという数値はDUO ソルトウォーター用純正よりマシです(笑)

それらは先が潰れているとかカットのテーパーがめちゃくちゃというわけではなく、カットがちょっと甘かったりバリがちょっと発達してたりする個体なので、仕上げ用砥石を使えば普通に刺さるようになります。

ルアーに装着する前に1個1個コンディションを確認しとけ&磯に予備フックとして持ち込むなら前に家で研磨しとけっつーことですね。

別の言い方をすると、フックはパックを開けた時が最高の状態であるはず・・・と思っている人には向かないフックです。

ちなみにフックシャープナーはオーナーのコレをお勧めします
防錆加工を一気に落とすことなく、先っぽだけを優しく整えることが可能です


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耐腐食性、防錆性能についてですが、端的にいってしまえば高性能だと思います。


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普通にガマのハイパーシールド並。
ST-56とかDUO ソルトウォーター用純正とかとは比べ物になんないくらい良いです。

・・・が、上でも述べたように、磯では錆が問題になるより先に潰れによる寿命がきちゃうモンなんですね。
もちろん防錆性能があるに越したことはないのですが、磯に限っていえば最重要視する要素ではない・・・と個人的には思っています。
河川でランカーシーバス狙いしてる人とか、浜で不意の大物に備えている人にはコスパ的に大切なことですけどね。


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コスパの話をすると、fimoフックH#4のソレはかなり良いです。
10個で1000円が定価ですけど、行くとことろに行けば850円くらいです。
店によっては800切ることもあるらしい
ライバルのDUO ソルトウォーター用純正が14個で990円。
つまり・・・

fimoフックH#4の単価が85円
DUO ソルトウォーター用純正#4の単価が71円
ちなみにSPH#4は150円くらい(!)

刺さりよりホールド力を重視するならfimoフックH#4
単純な強度を重視するならfimoフックH#4
防錆性能と長寿命を重視するならfimoフックH#4


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自分がこのクラスのフックを買うならSTX58/ST56は選択肢に入れませぬ。
用途に合わせてDUO ソルトウォーター用純正かfimoフックHから選びます。
ここぞという時のためにガマSPHも1パックくらい備えておくのもアリかな。
ま、fimoもDUOもコスパ重視であるならばどちらも正解の品でしょう。


結論:fimoフックH#4はコスパ志向の玄人志向のフックです


以上。







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